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  • 2025年10月07日

    動物専門員の日常#020 ~3羽で子育て?フラミンゴたちの不思議な行動~

    なんとなく、長年の勘で「これってもしかして・・・」と思うことってありませんか?

    う~~~ん??? 例えるならレーダーが働くというか、アンテナがぴんと立つというか

    今日はそんなお話を。

    IMG_E6626

     

    時は遡り、ベテラン飼育員と一緒に繁殖に向けてあれやこれやと作戦会議を立てているときのことです。

    そこで教えてもらったのは、ちょっと変わった3羽の関係性(*’▽’)

    ・ペア形成が上手なベニイロフラミンゴのオスとメスがいる

    ・そのペアに割って入り、子育てを手伝おうとするヨーロッパフラミンゴがいる

    ・なぜか3羽交代で卵を温めているので、通常より孵化が早い

    とのことでした。

    最後にさらっと一言。

    「なんなら、フラミンゴミルクも3羽から交代でもらうから、ヒナの成長も普通より早い気がすんねんな~~~~~~」

     

     

    ・・・・・ん?、え、それってもしかして・・・・

    「え、3羽で卵を温めているんですか?」

    「どの、何歳の個体ですか?」

    「フラミンゴにもシフト制みたいなものあるの?」

    思わず、つぎつぎと質問をしてしまいました(笑)

     

    う~~ん?これって・・・とても珍しい現象のような気がする。

    少し文献を調べてみると“鳥類の協同繁殖”のキーワードが。

     

    つまり、ペア以外の個体(ヘルパー個体)が抱卵と子育てに関わるという、なんとも不思議な繁殖形態のことです。協同繁殖自体はまれに報告例があるのですが、まさか王子のフラミンゴたちにそれらしき行動が見られるとは。

    しかも別種で(;゚д゚)ゴクリ…

    そして今年もその珍しい行動が確認されました。

    4月初旬にベニイロフラミンゴのペアの巣の周りをヨーロッパフラミンゴがうろうろと歩きまわっているのです。距離が近すぎるせいか、親鳥は警戒気味で翼を広げて卵を守っていました。

    近づいては離れ、近づいては離れ…を繰り返し。なかなか諦めません。

    ちなみに、このヨーロッパフラミンゴの個体番号は「H302」。1997年生まれ。メス。

    フラミンゴの飼育下の寿命は平均40~50年と言われているため、ほどよいお年です。

    (※一部、番号で個体を管理しています)

    あるときに、親鳥の警戒が解け、自然な形でふわりと抱卵に入れ替わりが行われました。

    そしてその日は3羽が交代でしっかりと温めていました。

    「おぉ、これが噂の…」とテンション高く観察していたのですが、残念ながらその卵は翌日には破卵していました。

     

    たまたまだったのかと思いつつ。

    5月中旬にベニイロフラミンゴの同じペアが再び産卵し、今回もまた同じヨーロッパフラミンゴ(H 302)が抱卵に参加していました。

    ところが、この2回目の卵もまさかのその日のうちに割れました。

     

    しかも卵には、くっきりと嘴の跡が・・・・(´;ω;`)

    温めようと「よいっしょ」と転がそうとしたときにうっかり強く差しすぎたのかもしれません。

    H302ははりきって抱卵しようとしているけれど。

    これは・・・親鳥にとってはもはやありがた迷惑なのでは・・・。

     

    通常フラミンゴは1つのペアが1つの巣に1つの卵を産みます。

    同じペアが複数回、産卵するのは抱卵中の卵を失ったり、ヒナの子育てに失敗した場合の“補充卵”であることがほとんど。

    しかも、産卵は体力をとても使います。2回産んでいるこのペアのメス、さすがに今シーズンは産まないよね・・・と思っていたら。

     

    なんと、7月3日に3回目の産卵を確認!

    (すごい・・・体力ある・・・!)

    まさに3度目の正直です。

    「どうか今回ばかりは・・・」と思いながら、双眼鏡を覗いていたら、そこにはおなじみのヨーロッパフラミンゴのメス(H302)が登場。

    いつものように近づいては離れ、近づいては離れ・・・を繰り返し。

    なかなか諦めません。

     

    この3羽の関係性っていったい・・・?

     

    ただ、3度目の正直だったのか。

    それとも偶然が重なっただけなのか。

     

    7月31日にヒナが無事に孵化し、その後順調に育っており、親鳥とH302 のそばを離れて単独で行動しています。

    飼育の現場では、不思議な出来事にたくさん出会います。

    「なんとなく・・・これって・・・?」みたいな小さな感覚が後々に新しい発見や研究につながることも実はよくあります。

     

    観察と記録の積み重ねは動物園が行う研究活動を推進する大きな力になります。

    王子動物園での毎日の中にひそむ、「なんとなく・・・これって・・・?」を大切にしながら動物たちの知られざる姿を明らかにしていきたいと思います。

     

    ・・・いや、ほんと観察する時間がもっと欲しい(切実)

     

    ▼3羽が交代でヒナと一緒に行動をしている様子

     

    動物専門員 あお