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最新ニュース

  • 2025年06月10日

    動物専門員の日常#18~今年もこの季節がやってきました。フラミンゴのヒナ誕生~

    今年もこの季節がやってきました。フラミンゴのヒナ誕生です。

    先日、Xでも紹介したようにベニイロフラミンゴのヒナ1号(4/29)と2号(5/10)が誕生し、親鳥のもとですくすくと成長をしています。



    ▼ベニイロフラミンゴのヒナ2号_生後3日目の様子

    ヒナ写真

    王子動物園のフラミンゴ飼育の歴史は長く、

    1983年から毎年フラミンゴ池での自然繁殖に成功しています。40年以上続く、歴代孵化記録も無事に更新されました。

     

    もちろん繁殖の記録を更新することは1番の目的ではありません。

    まず大切なのは「フラミンゴたちが健康にのびのびと過ごすことができること」

     

    たとえ繁殖記録を更新しなくても、フラミンゴたちが元気だったら「そんな年もあるよね」とホッとするだけなのですが、それでもやっぱり担当者としてはこの時期はそわそわしてしまいます。

     

    今回のブログではそのような中で迎えた、1卵目のベニイロフラミンゴのヒナ誕生についてあれこれと書き連ねたいと思います。

     

    今年初めての産卵は3/29でヨーロッパフラミンゴのペアでした。これは例年通りの傾向で、最初にヨーロッパフラミンゴの産卵ピークを迎え、そのあとにベニイロフラミンゴの産卵ピークに移り変わっていきます。

     

    ▼ヨーロッパフラミンゴ最初の産卵と親鳥の威嚇の様子

    IMG_4668

    「この時期からヨーロッパフラミンゴのペアの産卵ラッシュがはじまるからよく見ておいてね」とベテラン飼育員に言われ

    楽しみにしていたら、その3日後にはフラミンゴ島にたくさんの卵がありました。産卵シーズンのはじまりです。



    ▼フラミンゴ島のたくさんの卵

    IMG_4767

    そのような中・・・なんとベニイロフラミンゴのペアも産卵をしたのです。

    これは、例年より1か月も早い傾向だったので、驚きました。

    「まぁ、そんな年もあるよね」と思いつつ、動物とはほんとうに予測ができないものです。

    フラミンゴたちは1産1卵で抱卵と子育ては、基本的には同じペアが行います。抱卵期間(産卵してから孵化するまで)は一般的に27~30日とされており、その間オスとメスが交代で誕生まで卵を温めつづけます。

     

    とはいえ、これはあくまでひとつの目安。

    卵自体がもともと無精卵(未受精卵)であったり、何らかの理由で卵の中で発育が止まってしまい残念ながらヒナが孵らなかったりします

     

    よく観察をしているとフラミンゴたちにもさまざまな事情があることも分かりました。

    オス、メス抱卵の交代をするときにうっかり、自分の卵を割ってしまう個体や無意識に自分の体重を卵にかけすぎてしまう個体、他のペアが守っている卵を横取りしようとする個体やわざと攻撃して巣から転がり落とす個体など―――。

     

    ヒト同士でもいろいろとあるように、フラミンゴ同士にもいろいろあります。

     

    ▼フラミンゴ自身の体重で破卵した卵

    破卵した卵

     

    (担当者ができることは少ないのだけども・・・)ベニイロフラミンゴのペアが抱卵に集中できるように、ヨーロッパフラミンゴのペアの卵は偽卵に交換をし、横を通るときや掃除をするときにはできるだけ刺激をしないようにしました。

     

    最初の孵化は4/29の朝8時すぎでした。

     

    いつも通り、獣舎の確認をし、巣に親鳥がちゃんと座り込んでいるのをみて

    まだ孵化していないことを確認して・・・と思っていたら、

    親鳥の羽根からひょっこりと嘴がみえました。

     

    「え、これ本物?産まれてる」と

    めちゃくちゃ、びっくりしました。



    ▼フラミンゴのヒナ誕生


     

    ▼誕生直後_4/29 11時頃のフラミンゴのヒナ

    11時頃のヒナ

     

    無事に誕生してくれてひと安心です。

    そして親鳥がフラミンゴミルクを与える様子も確認できました。


    ▼フラミンゴミルクを飲む様子

     

    フラミンゴをはじめ鳥類の成長は日に日に、目を見張るものがあります。

    中でも印象的だったのは生後6日目に初めて巣から離れたときです。

    通常、ヒナは孵化5~7日後に自力で巣から離れ始めると言われています。

    親鳥は巣に居続け、ヒナを認識できるのですが連れ戻すことを物理的にはできません。

    (例えば、ネコのようにヒナを口にくわえて運ぶことはできません)

     

    なので、ヒナ自身が自力で巣に登り戻る必要があるのです。

    周りにフラミンゴのペアがたくさんいる中で戻れるか、心配でもし閉館時刻までそのままだったら手助けをしようと思っていたのですが、私の心配もよそにあっさりと30分後には巣に戻っていました。たくましすぎます。

     

    ▼生後6日目に初めて巣から離れるヒナ

    IMG_E5070


     ▼親鳥がヒナから離れ戻る様子

    生後10日を過ぎたころ、親鳥がヒナのそばから離れる様子が見られました。

    親鳥がエサを食べる間など、ほんの少しの時間をヒナは1匹で過ごします。

     

    (動画の中ではほんの小さな鳴き声を発していますが・・・)

    実はフラミンゴは、抱卵中に親鳥と卵内のヒナの間で「音声のコミュニケーション」をとることが知られています。孵化する前に十分に親子の絆ができているため、誕生後もヒナと親鳥がお互いを認識することができるのです。

     

    さて、6月を迎えて、現在2羽のベニイロフラミンゴのヒナが成長をしています。

    最近は200羽いる群れの中で、オキアミを食べる様子やよりたくましくなった脚で親鳥と並んで片足立ちをする様子なども見ることができます。

     

    王子動物園の風物詩 

    フラミンゴのヒナにぜひ会いにきてくださいね。

     

    動物専門員 あお