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2026年02月10日
じゅーいのしゅーい#143 引越し準備は念入りに
リニューアルに向けて、あちこち工事が始まっています。
カバの屋外展示場では、重機が入る工事がありました。
これは何の工事かというと、話せば長くなるのですが…
新しくできるサバンナゾーンへ引っ越すにあたり、園内とはいえカバたちが歩いて移動、とはいきません。輸送箱での移動になりますが、麻酔をかけずに自主的に箱に入ってもらうために、ゆっくりと時間をかけて箱に慣れてもらう必要があります。近々、寝室(屋内展示場)出入口付近のちょうどいい場所に輸送箱を設置するため、今回、一部の擬岩を撤去しました。
…という工事なのです。
引越しはまだまだ先ですが、出目男さんは高齢だし、ナミコはけっこう慎重派なので、念には念を入れて準備しています。
今回の工事は大きな音がするため、カバたちは終日屋内飼育となりました。
出入口には防音シートを張ってもらいました。

それでも用心深いナミコはぜんぜん陸に上がってきません。
たまに鼻だけ出して呼吸しています…。

工事の音というより、知らない人(作業員さん)がたくさん外にいるのが気になるのかも。
気配を消すナミコを気にする出目男さん。
こちらは意外と平気そうです。年の功?

午後、ナミコがようやく大好きな青草を食べに上がってきました。
よかったです…。

近くのレッサーパンダのノハナもこの日は寝室で待機。

常に動物最優先で、慎重に準備を進めていきます。
動物たちが観覧しづらくなることもありますが、ご理解いただければ幸いです。
(亜種メガネダヌキ)
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2026年02月06日
誠実に
いまは寒さが最も厳しくなるころで、
なによりも早く寒気が去ってくれないかと思って毎日を過ごしています。
ですが、この冬は例年よりも暖かいのか!?寒いのか!?
キリン舎前にある梅の木は去年より一ヶ月も早く花を咲かせ始めています。
動物園ではこの冬、ある取り組みを始めています。
動物たちを少しでもより良い状態で飼育するために、
動物たちの生活の質(QOL=Quality of life)を客観的に評価して、
生活環境の改善や、科学的・倫理的な配慮をしていく取り組みです。
なかには初歩的なことがらさえも見直していく考えです。
世界中ではいま、ヒトが関わるあらゆる動物たち、ペットや家畜、動物園の動物なども対象に「アニマルウェルフェア(動物福祉)」というものの考え方や取り組みが広がっています。
感情的な表現の「かわいい」「かわいそう」という動物愛護の精神とは違い、「栄養」「環境」「健康」「行動」「精神状態」の5項目に沿った動物に対しての責任と義務を果たしていこうとするものです。
王子動物園では1月に日本動物園水族館協会(JAZA)の評価を専門とするアニマルウェルフェアチームに監査を受けました。
飼育現場や動物病院の確認や、
危険動物取扱マニュアル、災害時対応マニュアルなどの管理に関する必要書類の確認。
日々の給餌やエンリッチメント、トレーニングの記録簿の確認など。
園内のすみずみまで監査した後に、後日意見交換し、評価について結果を通知されます。
基準に足りない箇所は改善策を掲げて実践し、日々見直しをしながらアップデートができるように励んでいきます。
今年は動物園が開園して75年の節目の年になりますが、
これまでの経験を生かしながらも、未来のために前向きになって、
何をしたかよりもその結果がどうなっているかに重きを置いて実行していく覚悟です。
ぶろぐのぐ
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2026年02月01日
じゅーいのしゅーい#142 アジアゾウのマックについて
すっかりヒト科動物ばかり相手にすることが増えているじゅーいです。
今回は、現在、足に不調を抱えているアジアゾウの「マック」について、皆さまに現状をお伝えしたく、久しぶりのブログ投稿です。
ご存じのとおり、アジアゾウのマックとズゼは、毎日のトレーニングで健康状態を確認しています。特に足のケアについては念入りに行い、少しの変化も見逃さないよう気をつけてきました。何かあればすぐに、獣医と飼育員で連携して対応しています。
それというのも、陸上で最大の動物であるゾウにとって、その体重を支える足は本当に大切だからです。とくにアジアゾウは足の疾患が多く、足裏や爪にトラブルが起きやすいため、世界中の動物園で共通の課題とされています。
マックも、これまでに時々調子が悪くなることはありました。主に前肢の外側の爪の部分にトラブルが起きていましたが、その都度こまめな処置を行い、大事には至りませんでした。
それが、2025年の春頃から症状が悪化し、これまでの処置では元の状態に戻らなくなりました。歩き方にも違和感が出始め、痛みのある前肢をかばうせいで後肢にも不調が広がり、歩く時間が減り、壁にもたれて体重を支えるような姿も見られるように…。
何より、痛みのためかトレーニング時の指示にいつものように従ってくれない日も、でてきました。
そうなると、マックのケアがどれほど困難かという課題を痛感させられます。
ただでさえ国内最大級の体格をもつマックです。オスゾウですので、立派な牙もあります。体に似合わず繊細で臆病なマックですが、本人にその気がなくても、ささいなことで飼育員や獣医に危険が及びかねません。ズゼのように同じスペースに入ることができず、マックの鼻が届く距離には近づけないため、なかなか直接的な処置が難しいというのが現状です。
また、当然、処置に伴うマックの負担も考えなければなりません。例えば全身麻酔をかけて根本的な治療ができたら…とも考えましたが、マックにも飼育員や獣医にもリスクが大きすぎてとても現実的ではありません。
さまざまな要因があり、できることが限られている中で、今マックのためにできる最善は何か? 飼育担当者や獣医師、管理職も交え、マックの治療を最優先に考えて何度もミーティングを行っています。
資料や文献を探し、あらゆるつてをたどって国内外の専門家に意見を仰ぎ、マックの状態を伝えて何かできることがないか助言を求めることもしています。皆さま本当に親身になってアドバイスしていただき、動物園関係者をはじめ、横のつながりとはなんてありがたいのだろうと改めて実感しました。
そうして、今すぐできること、中期的・長期的にできることを洗い出し、対応を行っています。
投薬は内服・外用をあわせて強化・継続し、投薬の仕方も改良しました。できるだけ足への負担を減らせるよう、主にマックが使う放飼場の土をやわらかい砂に入れ変えました。職員の安全を確保しながら今より直接的なアプローチができるよう、柵の改修を行いました。
現場の飼育担当も獣医もこのような対応に追われる中ですが、このあたりの詳しい状況やマックの近況についても、少しずつでもSNSなどを通じてお伝えしていくよう努めますので、お待ちいただければ幸いです。
マックの状況は、明らかな悪化の進行はないものの、予断を許さず一刻の猶予もないことは認識しています。飼育員も、獣医も、管理職も経理担当も設備担当も、みんな思いは同じです。マックのためにできることは全てやろうとしています。ブログを書いている今も、マックに何ができるのかと常に考えています。
来園者の皆さまからも、日々ご心配の声やご声援をいただいており、感謝しております。また、薬代や獣舎の改修費など、マックの治療に必要な費用につきましては、皆様よりお寄せいただいたご寄付を充てさせていただきます。
もちろん、ズゼやほかの動物たちのことも忘れていません!
引き続き、どうか温かく見守っていただきますようお願いいたします。
(亜種メガネダヌキ)
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2026年01月15日
動物専門員の日常#021 ~フラミンゴに脚環(あしわ)をはめる~
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
あたらしい年のはじまりに抱負を立てるひとも多いのではないでしょうか? 実はフラミンゴの担当として、ここ数年新たな抱負がありました。
それは、「脚環(あしわ)をはめること」です!
動物の識別に役立つ「脚環(あしわ)」
王子動物園にはたくさんのフラミンゴがいますが、 きっと毎日みている飼育員だったら・・・という羨望のまなざしで、 「1羽1羽識別しているのですか?」と聞かれることがあります。
正直に言うと、「ごめんなさい、無理です。」
ぱっとみて1羽1羽を識別するのは難しすぎます・・・(;’∀’)
(もちろん、やせすぎてないか、歩き方に異常がないか、 群れから孤立していないか、などは毎日チェックしてますよ)
それでもたま~~~に、特徴的な体型や群れの中でいつものお気に入りスポットにいる個体や毛並みのなんとなくの感じなどで、わかることもあります。
しかし、200羽以上にもいるとそれぞれの個体を完全に把握するのは
どうしても難しいのです。
「脚環(あしわ)」の役割とは?
そんなときに、役に立つのがこちら。
じゃじゃーん!脚環(あしわ)です!

これは人間でいうと、名札のような役割をしています。
動物たちを番号で管理をすることで、いつどこで生まれたのか、親はどの個体なのか、健康状態の履歴などをこちらで区別することができます。
大昔は、入れ墨をいれたり、羽根をカットしたりしていたようですが、今は脚環をはめたり、マイクロチップを体内に埋め込むといった動物をできるだけ傷つけないやり方が主流です。
将来的には、もっともっと発展してAIや画像解析システムで個体識別ができる技術が生まれるのかな・・・と勝手に想像をしています。
群れのなかから1羽を捕まえる
さて、この脚環をつけるためには対象のフラミンゴを捕まえる必要があります。
フラミンゴを捕獲して、保定をするのです。
文字で書き起こすと簡単なことのように見えますが、
これが難易度MAX!!!!だって、よく考えてください(泣)
王子動物園のフラミンゴの羽数は国内随一。
200羽以上いる中で1羽だけを狙って捕まえるのは想像するだけでも難しいです。
特に臆病で神経質な動物の代表格のフラミンゴ。
フラミンゴ自身も私たち飼育員も怪我なく、無事捕獲をし、保定する技術を身につけることが担当としての第一目標でした。
見えない部分で少しずつ保定技術を積み重ねてきました。
大切なことはフラミンゴの動きを理解することそして何より場数をこなすこと! (ベテラン飼育員曰く「群れがばたつくと、餌食べへんようになるからほどほどにね」「でもな、捕まえるときはガっていくねん」と教わりました)
このような捕獲技術や保定方法は、飼育員や獣医師の間で脈々と受け継がれています。
▼20年前の担当者の様子

▼最近の担当者の様子

ついに脚環をはめることのできた日
最近、2025年生まれのベニイロフラミンゴのヒナ(もうすっかり成鳥だけど)に
脚環をつけることができました。 残念ながら捕獲&保定の写真がないのですが・・・。
やってみるとすごく分かるのですが「フラミンゴ首はながいわ、脚も長いわ」で もう、たいへんです。
というのも、難易度が高めなこの技術。
王子動物園では数年にわたって伝承が途切れていた時期があり、その間に脚環をつけることができなかったフラミンゴがいました。
昔は当たり前にできていたことなので、
「きっと頑張ったらできるはず!」そんな思いで取り組んでいました。 なので、2025年生まれのフラミンゴのヒナに脚環をつけることができたことは、飛び上がるぐらい、嬉しい出来事でした。
群れを管理し、飼育をしつづける
群れの動物の管理は、群れの大きさが大きくなればなるほど
1羽1羽の個体管理の重要性が増します。
数が多いからこそ、ただの群れとして見るのではなく
それぞれのいのちとして向き合い続けることがよい飼育に繋がると考えています。
まずはファーストステップクリア。
心の中でガッツポーズをした日でした。
動物専門員 あお

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