-
2023年05月18日
アムールヒョウのスク
アムールヒョウの「スク」(メス)は2019年7月29日、「セイラ」の仔としてオス1頭、メス2頭で生まれたうちの1頭です。
「スク」(メス)、「ラム」(メス)、「トライ」(オス)の3頭です。
母親のセイラが育児をしなかったため人工哺育で育ちました。本来は母親が育てることが自然ですが、ネコ科の人工哺育をした事がなかったのでいい経験になりました。
スクが生後8ヶ月頃、小さく切った馬肉を与えているとき、こんな事がありました。
放飼場で3頭を遊ばせた後、寝室に戻し餌を食べさせていたのですが、トライが体も大きく、自分の分を食べ終わるとスクの餌を取りに行きました。
スクは取られまいと急いで食べてしまい、肉を喉に詰まらせてしまいました。
えずきだし、肉を吐き出しましたが、その後倒れて動かなくなってしまいました。
獣医さんを呼んでいる時間も無いので、急いで中に入り、口の中を見ると肉が見えたので取り出しました。
心臓マッサージと人工呼吸をすると20秒程で呼吸をしだしました。
それからしばらくはトライと分けて餌を食べさせました。
足を痛めて治療したこともあり、今でも人に対して甘えてくるときもあります。
野生のアムールヒョウは開発による生息地の分断、それによる近親交配による成長や繫殖の障害、毛皮目的の密猟等により、生息数は100頭程とも言われています。
生息地を守るとともに、アムールヒョウという亜種を絶やさないように世界ぐるみで飼育、繫殖させていかなければなりません。
トライは2020年6月30日によこはま動物園ズーラシアへ、ラムは2020年12月23日に福山市立動物園へ移動しました。
いずれスクも移動し、新しい命を繋いでいってくれることを願います。
やん
-
2023年03月31日
頼もしい仲間たち
動物園の飼育係には様々な職員がいます。
いずれも神戸市の職員ですが、いわゆる正規の職員、最長3年の会計年度任用職員、飼育と調査研究を行う動物専門員が日々の飼育を行います。
その中で今回は会計年度任用職員について話したいと思います。
会計年度任用職員、分かりやすく言うと短期のアルバイトですが、誰でもできるわけではありません。
「高等学校や専門学校、大学等で動物に関する専門課程を修了した者又は修了見込みの者」となっています。
他園で飼育係をしていた人もいます。
私から見た彼ら彼女たちは、仕事に対して行動力があり、来園者に対して動物ガイドをし、平均年齢の高い職場を盛り上げてくれる、頼もしい仲間たちです。
その中のひとり、廣瀬さんからメッセージをもらったので紹介します。
皆さんこんにちは、北園の動物を担当している廣瀬です。
埼玉から来ました。
以前は東京の水族館で生物の解説をし、千葉県の動物園でポニーやハクビシンなどを担当していました。
そこから突然神戸まで来たので、随分思い切ったものだと思います。
王子動物園で初めてキリンやカバ、ホッキョクグマなどの動物と関わることになりました。
どこの動物園でも見られる動物ではないので、これだけでも王子動物園に来てよかった、ありがたいなと思いながら仕事をしています。
でも一番可愛がっているのはロバたちだったりして。
せっかく様々な動物たちの担当になれましたので、皆さんにもっと動物たちの魅力が伝えられる様頑張りたいと思います。
ひろせ
この動画は、廣瀬さんが消防ホースから作ったエンリッチメントアイテム(フィーダー)で、今のところツキノワグマのタケが遊んでいます。夢中になっていますね。
今後も持ち前の探求心を活かして、動物たちのために頑張って欲しいです。
やん
-
2023年01月16日
エゾヒグマのロクジの移動について
エゾヒグマのロクジは、去年より、後肢の衰えが見られるようになりました。
初めは後肢のつまずきが見られ、次第につまずいた後肢が踏ん張れず腰を落とすようになりました。
投薬を始めるも症状の悪化が進み、投薬の量が増えていきました。それでもロクジは日の当たる2階部分に上がって行きます。
もし坂の途中でよろめいて下に落ちて怪我をしても助けに行けません。そのため、クマ舎の北側にある段差の少ない獣舎に移動する事にしました。
ロクジの移動 (動画)
当日は麻酔をかけて移動用のゲージに入れ、クレーンで移動先の放飼場に下ろしました。
麻酔から覚めているものの、後肢に力が入らず、ゲージから出るのに時間がかかりました。
ぱくぱく (動画)
翌日から餌も食べだし、足の様子を見ながら外に出るようになりました。
でも今は立ち上がっても後肢を前に出せない時もあり、前肢だけで移動するときもあります。
足を引きずった時に傷ができないように寝室の床にはゴムマットを敷いています。
放飼場にも園内で集めた落ち葉を入れました。
運動量も減っているので、足の負担軽減のためにダイエットも始めました。
少しでもロクジが快適に生きていけるように色々と考えていきます。
ちなみにサトエですが、ロクジが居なくなり少し寂しそうです。
少しでも気を紛らわしてもらおうと色々放飼場に入れています。
今は少しは慣れてきたみたいです。
やん
-
2022年11月25日
こんなことも
動物園の飼育係は掃除、餌やり以外にこんな事をしているという紹介をしたいと思います。
動物園の役割の中に調査、研究があります。飼育をして分かった事、経験した事、疑問などそれを他園と共有することが大切です。その場が近畿ブロック技術者研修会や全国技術者研究会です。種ごとに分かれたレッサーパンダ会議、ゾウ会議などもあります。
私は先日担当であるホッキョクグマの計画推進会議に参加するため、愛媛県立とべ動物園に行ってきました。
全国のホッキョクグマ飼育園館の飼育係や獣医師が集まり、現状報告や今後の課題点などを話し合います。
近年は新型コロナウイルスの感染予防のためリモートが多くなっていますが、対面の会議はリモートでは聞きにくい小さな事やホッキョクグマ以外の動物のことなど色々聞けます。会議が終われば情報交換会でその続きをします。日付けが変わっても、ホテルの部屋で話をする人たちもいます。
2日目は会議の続きをして、園内見学をします。ホッキョクグマ舎以外にも他に担当している動物舎なども案内してもらえます。
新しい知識、飼育方法のアイデアなど色々刺激を受けます。それを持ち帰り王子動物園に生かせられるようにしていきたいです。
やん
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
« 5月 | ||||||
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
- Aちゃんのブログ (140)
- BambooBushのブログ (2)
- KYな人のブログ (5)
- Nのさえずり (3)
- ZiZi通信 (77)
- えんちょうさんぽ (80)
- おっちゃん日和 (4)
- お宝、発見 (51)
- じゅーいのしゅーい (141)
- その他 (11)
- そーかつ☆のブログ (73)
- ぶろぐのぐのブログ (4)
- やん のブログ (4)
- オカンのブログ (166)
- ションのブログ (24)
- セツビのセ (161)
- パンダ館からこんにちは (5)
- 動物いろいろ (24)
- 未分類 (11)
- 王子の獣医のブログ (3)
- 知られざる運営の日常 (3)
- 資料館だより (102)
- 資料館レポ (23)