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2021年08月01日
資料館レポ№8 王子動物園開園 ~みんなに愛され70周年~
現在の王子動物園一帯は原田の森と呼ばれ、1889年から1929年まで関西学院(その記念碑は動物園のあちこちに建っています)がありました。
第2次世界大戦で焼け野原となり、その後、1950年に戦後復興と発展を願って神戸博覧会が原田の森で開催されましたが、その跡地に残された遊園地の活用と諏訪山動物園を移転拡張する構想で王子動物園が建設されました。 諏訪山動物園から移動する動物は52種類、125頭で3月19日、20日に大型トラックで運ばれましたが、インドゾウの「摩耶子」と「諏訪子」は開園日当日の21日に諏訪山から山本通を東進して加納町から市電道に沿って王子へ向かうルートで飼育員が係留して歩かせました。
この時、王子動物園史上最大のハプニングが起こりました。以下 50年史からの抜粋です。 『王子に向かっていたゾウは布引停留所付近で走ってきた市電や自動車の警笛に驚き,2頭は大暴れ、「摩耶子」は手綱を持っていた松村園長を鼻で放り上げ、地面にたたきつけ、浜側の人家まで逃げた。一方、「諏訪子」もロープをひいていた飼育員らを引きずりながら山側に逃走し、布引水道ポンプ場の階段下まで逃げ出した。』と記録されています。 珍しいゾウの移動を見ようと沿道には2万人の観衆が詰めかけていたため、大パニックになりました。警官50人、パトカ―2台、消防車2台が出動し、何とか2頭を電柱に係留して落ち着かせました。この様子が神戸新聞に大きく報道されています。
現在では、法律の規制が厳しくなり、このような危険な動物については飼育、保管や移動など厳しい基準が定められていて、公道でゾウの歩行移動はできません。王子動物園でも2013年出産のため、市原ゾウの国へ移動したアジアゾウの「ズゼ」は大型のコンテナ―に入れられ、100tのクレーンに吊り下げられて、トラックで12時間高速道路を夜間走行して運びました。
その時、同行した職員の話では、途中のSAで給水をさせるため、駐車するが、大量のおしっこがコンテナーから流れ出したり、走行中後ろの車にしぶきがかかるため、間にほかの車が入らないよう気を使ったり、現地ついて「ズゼ」の顔を見るといつも温厚なズゼの目が怒りで血走っていたりしたそうです。※これはズゼが帰ってきたときの写真です。
ようやく、開園を迎えた王子動物園ですが、この日は無料開放、祝日であったこともあり、推定10万人の入園者があったと記録されています。ジャイアントパンダが来園した年も入園者は多かったですが、1日3万人を超えれば多い日とされていたので、飛びぬけた数値であったことがわかります。
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