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2026年01月15日
動物専門員の日常#021 ~フラミンゴに脚環(あしわ)をはめる~
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
あたらしい年のはじまりに抱負を立てるひとも多いのではないでしょうか? 実はフラミンゴの担当として、ここ数年新たな抱負がありました。
それは、「脚環(あしわ)をはめること」です!
動物の識別に役立つ「脚環(あしわ)」
王子動物園にはたくさんのフラミンゴがいますが、 きっと毎日みている飼育員だったら・・・という羨望のまなざしで、 「1羽1羽識別しているのですか?」と聞かれることがあります。
正直に言うと、「ごめんなさい、無理です。」
ぱっとみて1羽1羽を識別するのは難しすぎます・・・(;’∀’)
(もちろん、やせすぎてないか、歩き方に異常がないか、 群れから孤立していないか、などは毎日チェックしてますよ)
それでもたま~~~に、特徴的な体型や群れの中でいつものお気に入りスポットにいる個体や毛並みのなんとなくの感じなどで、わかることもあります。
しかし、200羽以上にもいるとそれぞれの個体を完全に把握するのは
どうしても難しいのです。
「脚環(あしわ)」の役割とは?
そんなときに、役に立つのがこちら。
じゃじゃーん!脚環(あしわ)です!

これは人間でいうと、名札のような役割をしています。
動物たちを番号で管理をすることで、いつどこで生まれたのか、親はどの個体なのか、健康状態の履歴などをこちらで区別することができます。
大昔は、入れ墨をいれたり、羽根をカットしたりしていたようですが、今は脚環をはめたり、マイクロチップを体内に埋め込むといった動物をできるだけ傷つけないやり方が主流です。
将来的には、もっともっと発展してAIや画像解析システムで個体識別ができる技術が生まれるのかな・・・と勝手に想像をしています。
群れのなかから1羽を捕まえる
さて、この脚環をつけるためには対象のフラミンゴを捕まえる必要があります。
フラミンゴを捕獲して、保定をするのです。
文字で書き起こすと簡単なことのように見えますが、
これが難易度MAX!!!!だって、よく考えてください(泣)
王子動物園のフラミンゴの羽数は国内随一。
200羽以上いる中で1羽だけを狙って捕まえるのは想像するだけでも難しいです。
特に臆病で神経質な動物の代表格のフラミンゴ。
フラミンゴ自身も私たち飼育員も怪我なく、無事捕獲をし、保定する技術を身につけることが担当としての第一目標でした。
見えない部分で少しずつ保定技術を積み重ねてきました。
大切なことはフラミンゴの動きを理解することそして何より場数をこなすこと! (ベテラン飼育員曰く「群れがばたつくと、餌食べへんようになるからほどほどにね」「でもな、捕まえるときはガっていくねん」と教わりました)
このような捕獲技術や保定方法は、飼育員や獣医師の間で脈々と受け継がれています。
▼20年前の担当者の様子

▼最近の担当者の様子

ついに脚環をはめることのできた日
最近、2025年生まれのベニイロフラミンゴのヒナ(もうすっかり成鳥だけど)に
脚環をつけることができました。 残念ながら捕獲&保定の写真がないのですが・・・。
やってみるとすごく分かるのですが「フラミンゴ首はながいわ、脚も長いわ」で もう、たいへんです。
というのも、難易度が高めなこの技術。
王子動物園では数年にわたって伝承が途切れていた時期があり、その間に脚環をつけることができなかったフラミンゴがいました。
昔は当たり前にできていたことなので、
「きっと頑張ったらできるはず!」そんな思いで取り組んでいました。 なので、2025年生まれのフラミンゴのヒナに脚環をつけることができたことは、飛び上がるぐらい、嬉しい出来事でした。
群れを管理し、飼育をしつづける
群れの動物の管理は、群れの大きさが大きくなればなるほど
1羽1羽の個体管理の重要性が増します。
数が多いからこそ、ただの群れとして見るのではなく
それぞれのいのちとして向き合い続けることがよい飼育に繋がると考えています。
まずはファーストステップクリア。
心の中でガッツポーズをした日でした。
動物専門員 あお -
2025年12月24日
働いて、働いて
1年集中して働いてまいりましたら、あっという間に今年も12月です!
気がつけば、「冬至(太陽の出ている時間が1年で1番短い日)」でした。
動物園で冬至といえば、
恒例になった「ゆず湯をプレゼント」。
今年はこんな感じに♨♨♨
「冬至」の風習として必ずニュースにもなる「ゆず湯」。
この習慣は江戸時代から始まったとか。
「冬至(とうじ)」を温泉で療養する「湯治(とうじ)」にかけて、
お風呂屋さんが始めたとか。
ゆずはこの時期ちょうど収穫期にあたり、
ゆずの果皮には風邪予防や保湿に良くて、
血行促進を促す作用が豊富に含まれているらしいです。
今年は主役!?のゆずが、やや安く手に入ったので少し多めにプレゼント。主役のカピバラやカバにも喜んでもらえたでしょうか。
さて王子動物園ではいま「クラウドファンディングによる寄付募集」を行っています。
というのも動物園には抱えている課題が山積みで…
動物たちのいる建物の老朽化や、物価高によるエサ代の高騰、
動物たちが元気に暮らしていけるように工夫を凝らしながら取り組んでいるエンリッチメントなどなど。
これらの課題を解決して、社会的な役割を果たしながら、ずっとこれからも愛され続けていくためにみなさまの温かい応援とご支援をお待ちしています。
そしてまた来年も王子動物園と動物たちをどうぞよろしくお願いいたします。
来年もこの動物園でみんなず~っと一緒に楽しく過ごせますように!
皆さんもよいお年をお迎えください。
ぶろぐのぐ
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2025年12月04日
王子動物園の動物病院の紹介
現在、王子動物園では獣医師を募集(短期の会計年度職員)しており、募集期間は12/12(金)までとなっています。
動物園内の動物病院って、一般の方はもちろん、動物園経験がない獣医師もイメージしにくいと思います。
イベント等で院内案内は好評なので、実際に働くことになる獣医師への紹介も兼ね、今回のブログでは普段公開していない動物病院について、特に設備面を中心に紹介したいと思います。
いきなりですが、当園の動物病院の機器は結構充実しています。
というのも数年前に最新の獣医療機器が導入されたからです。
その目的は飼育動物達、特に高齢個体達に充実した獣医療を届けるためでした。
例えば、大型動物に安全な麻酔を実施するため専用麻酔機を導入しました。
もともと馬用ですが、トラやクマにも使えます!
また、麻酔中の動物の状態を確認するため、生体モニターも最新型を導入しました。
医療ドラマでよく見るやつですね。
麻酔時間をなるべく短くするための機器としては、電気メス・超音波メス・シーリングシステム(血管等を熱の力で閉鎖する機器)も導入しました。
これらの機器がないときは、血管を糸で縛る必要があり、2017年のウマグマ(マー)の腫瘍摘出手術には10時間以上かかり、腰(人間の)が悲鳴を上げたのを覚えています。
「あの時にこの機器があれば、、、」って当時の獣医とよく話をします。
より精度の高い画像診断を実施するため、レントゲンについてはX線照射装置とDR(デジタルレントゲン)機器を導入しました。
DRは各動物舎で撮影・画像確認が可能でフィルムを交換する必要もなく連射可能なので、年1回の大型ネコ科動物達の検診時に大活躍しています!
心臓病や腹水の検査で活躍するエコーも、大型と小型(スマホサイズ)の最新型を導入しました。大型はもちろん、小型についてもハズバンダリートレーニング時の血管確認等で重宝しています。
この機器のおかげでエゾヒグマ(ロクジ)の採血は一発で出来ました。
他にも、様々な機器(心電図、ホルモン検査機器etc)を更新させていただきました。
また機会があれば紹介したいと思います。
最初にも書きましたが、12/12まで獣医師を募集(短期の会計年度職員)していますので、皆さんのまわりに興味がありそうな獣医師がいらっしゃれば「こんな機器があるみたい」と紹介いただければ幸いです。
王子の獣医
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2025年11月22日
はじまりは
とある日曜日、動物園内を巡視中に撮影した一枚の写真。
ホッキョクグマ舎の観覧通路に展示している写真スポットでのひとコマです。
観覧通路のアクリル窓から見えるのは、
12月10日で4歳になるやんちゃ盛りのホッキョクグマ「ゆめ(メス)」。
暑い時はプールへ豪快にダイビング。
涼しくなると巨大化する雪山で得意の穴掘りと
さまざまな行動でみんなの視線をくぎづけにしています。
動物園ではそんな刺激的なホッキョクグマの行動を見て楽しみながら、
たくさんのことに関心を持ってもらいたいと思っています。
ホッキョクグマにもみなさんにも関係する大切なことを。
2年前の2023年から等身大のホッキョクグマと記念撮影できるスポットや、環境問題を取り上げたカンバンなどを作ってみました。
でも、「ゆめ」の見ていて楽しすぎる行動に少し押され気味でして…
パネルのモデルになってもらったホッキョクグマは「ミユキ(メス)」です。
1990年11月30日に大阪・天王寺動物園で生まれました。
王子動物園には1992年1月20日にやってきて、
「灘の貴婦人」と呼ばれた人気のホッキョクグマでした。
2024年1月13日に33歳で亡くなるまでは
「ゆめ」に負けないくらい多くの方から親しまれていましたが、
この日は、少し寂しげに見えたので一緒に写真を撮ってみました。
動物園・水族館ではいま、
多様な生命を育む地球と地球上にいるあらゆる生きものの、
より良い未来のために多様な人々と協力して行動しようと考えています。
11月から12月のこの時期に生まれてくることが多いホッキョクグマ。
これから生まれてくる子たちのためにも、いまできることは何なのか。
温暖化対策とか?保全活動とか?
みなさんと一緒に学んで、考えて、行動していきたいと思います。
ぶろぐのぐ
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2025年11月07日
~11月19日は「世界アリクイの日」~ 日本のオオアリクイ飼育園館が初めて合同で保全啓発を実施します!
毎年11月19日は「世界アリクイの日(World Anteater Day)」です。
世界アリクイの日は、アリクイとその生息地が直面している脅威、そしてアリクイを守ることの大切さを世界に伝えるための日です。
この日は、アリクイの保全活動を行うブラジルのNGO「Instituto Tamanduá」と「Instituto Jurumi」によって2014年に設立され、国際自然保護連合(IUCN)のアリクイ専門家チームにも公式に承認されています。
アリクイは有毛目アリクイ科に分類される哺乳類で、野生下のアリクイは生息地の減少や交通事故など、さまざまな脅威に直面しています。特にオオアリクイ(Myrmecophaga tridactyla)は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に分類されており、国際的な保全への取り組みが求められています(IUCN, 2025)。
オオアリクイは日本動物園水族館協会(JAZA)で保全の優先度が高い動物種
オオアリクイは日本動物園水族館協会(JAZA)のコレクションプラン種(※)の「管理種(JSMP)」に位置付けられており、国内での個体群管理・繁殖計画のもと、長期的な飼育・保全が進められています。
※保全上の必要性、教育的価値、学術的価値、展示効果その他の指標に基づき、継続的に飼育管理することが必要とされる種
日本は7園で18頭を飼育、世界でも有数の飼育国
現在、日本では7つのJAZA加盟園館で計18頭のオオアリクイが飼育されています(2025年10月現在)。一見少なく感じられるかもしれませんが、この飼育頭数は世界で第6位に位置しており、日本は世界有数の飼育国の一つです。
そのため、日本におけるオオアリクイの継続的な繁殖や調査データの共有は、国際的な種の保全においても重要な役割を担っています。
当園ではオオアリクイを2頭飼育しております。
(オス:ブンバ)
(メス:サニー)
7園合同による保全啓発活動を初実施
今年、オオアリクイを飼育する全国7園が合同で、初の保全啓発活動を実施します。世界アリクイの日にあたる11月19日を中心に、ブラジルでオオアリクイの保全活動を行う野生動物保全研究(ICAS)の協力のもと、各園で共通デザインの展示パネル掲示やSNSでの情報発信、ガイドイベントなどが展開されます。
王子動物園では、11月16日(日)にガイドイベントを実施します。ぜひご参加ください!
詳細はこちら
(公社)日本動物園水族館協会に加盟するオオアリクイ飼育園館
・静岡市立日本平動物園
・江戸川区自然動物園
・よこはま動物園ズーラシア
・名古屋市東山動物園
・神戸市立王子動物園
・神戸どうぶつ王国
・沖縄こどもの国この機会に、ぜひ園を訪れ、実際のオオアリクイの姿を通してアリクイを取り巻く環境や保全の重要性に触れていただければ幸いです。
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2025年10月23日
世界ユキヒョウの日
今日は“世界ユキヒョウの日”
絶滅の危機に瀕したユキヒョウの保全を考える日。
2013年10月23日にキルギスのビシュケクという街で「世界ユキヒョウ保護フォーラム」が開催されたことを受け制定されました。
この日に向けユキヒョウの「ユッコ」について、ブログにしようかXにしようかそんな話をしたのはつい、先月の事。こんな日がこんなにも早く来るなんて夢にも思わずに…。
少し気温の下がった爽やかな夜明け、とても静かな朝。
ユキヒョウの「ユッコ」は穏やかに息を引き取っていました。
円形猛獣舎のバックヤードはいつもなら個室の檻の中を鳴きながらウロウロしている猛獣たちもその日の朝はジッとし彼女の《死》を知ってか否か、とても静かな空間でした。
動物たちは本能的に《死期》を《命の終わり》を感じるものだと聞いたことがあります。
生きとし生けるものみな平等にその鼓動の止まる時はいつか必ず訪れます。でもそれがいつなのかは明確には誰にも分かりません。
ここで働いている間、突然その時は何度もやってきました。
私たち飼育員は飼育動物の一番近くにいて、彼らの普段を観察し、いつもと違う様子があればそれに気付けるよう日々目を、心を配っています。常にすべての動物たちのそばにいることはかないませんが、具合が悪そうだったり様子の違いに気が付いたときは獣医師と一緒に様子を見たり治療をするかの相談をします。
自然界では“弱っている姿をみせる=自らの命を危険にさらす”可能性がたかまります。
表に出さないことが彼らの身を守る手段の一つでもあり、それは例え長く飼育下におかれていても囲いの中で生を受けても、その身体に「本能」として持ち続け、消えることはないのです。それゆえその変化に気が付いた時にはかなり厳しい状況になっていることも少なくありません。
もっと早く異変に気付いていたなら、いつもと違う様子に気付いていたなら…。何度そう悔やんだか分かりません。しかし、悔やんだところでその命たちは戻っては来ませんしクヨクヨ下を向いていて視野が狭くなったままではここにいる意味はありません。
限られた環境に生きる彼らがこの中で過ごす間、そして自分がここにいる間はせめて自分に出来ることを精一杯したい。
彼らの出す小さなサインに気付けるようにと誓う秋の日です。
Nのひとりごと
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2025年10月17日
秋
実りの秋。食欲の秋。読書の秋。スポーツの秋。
みなさんの秋の楽しみ方は何ですか?
私にとっては少しさびしい秋になりました。
先日、新聞を読んでいると訃報の欄に目が留まりました。
「10月1日、動物行動学者ジェーン・グドール氏91歳で死去」
最近はメディアなどに登場する機会が少なくなっていましたが、
動物園、特に霊長類に関心のある人ならば知らないはずがないレジェンドです。
グドールさんは1934年にイギリスのロンドンで生まれ、
1960年からアフリカのタンザニアにあるゴンべ国立公園で
野生のチンパンジーの観察、調査研究を始められています。
動物園で行うイベントに「世界チンパンジーの日」がありますが、
これはグドールさんが1960年7月14日にゴンべ国立公園に
初めて足を踏み入れた日を記念して制定されています。
グドールさんが調査研究を開始された当時は
道具を使うことができるのは人間だけと考えられていましたが、
グドールさんの観察で野生のチンパンジーも器用に道具を使うことがわかり、感情や個性を持つことも発見されました。
世界で初めての発見は人々に衝撃を与え、動物たちに対しての考えや
人間とは何かという哲学にも大きく影響することになりました。
私が動物園で働きだした1980年代、今のように便利な情報システムはなく、
特に世界の野生動物に関係する書籍などは微々たるものでした。
1973年 (昭和48年)発行の著書「森の隣人 -チンパンジーと私-」は、
グドールさんが観察された記録が生々しく、まるで映画を見ているような感覚になり、気持ちがわくわくしたことを記憶しています。
現在、日本動物園水族館協会が将来構想にも掲げているアクションなどには早くから取り組まれており、
地球温暖化や森林破壊など環境問題にもずっと力を注いでおられました。
世界中での活動は情熱的で、
講演のために訪れていたアメリカ・ロサンゼルスで亡くなったらしいです。
知らせを聞いた時には少し感傷的な気持ちにもなりましたが、
グドールさんの情熱を思い起こして、
次世代への希望へと引き継げるようにしたいと思いました。
もし少しでも興味を持っていただけれたら、
みなさんにも自然保護や環境問題に目を向けていただきたいと思います!
ぶろぐのぐ
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2025年10月07日
動物専門員の日常#020 ~3羽で子育て?フラミンゴたちの不思議な行動~
なんとなく、長年の勘で「これってもしかして・・・」と思うことってありませんか?
う~~~ん??? 例えるならレーダーが働くというか、アンテナがぴんと立つというか
今日はそんなお話を。
時は遡り、ベテラン飼育員と一緒に繁殖に向けてあれやこれやと作戦会議を立てているときのことです。
そこで教えてもらったのは、ちょっと変わった3羽の関係性(*’▽’)
・ペア形成が上手なベニイロフラミンゴのオスとメスがいる
・そのペアに割って入り、子育てを手伝おうとするヨーロッパフラミンゴがいる
・なぜか3羽交代で卵を温めているので、通常より孵化が早い
とのことでした。
最後にさらっと一言。
「なんなら、フラミンゴミルクも3羽から交代でもらうから、ヒナの成長も普通より早い気がすんねんな~~~~~~」
・・・・・ん?、え、それってもしかして・・・・
「え、3羽で卵を温めているんですか?」
「どの、何歳の個体ですか?」
「フラミンゴにもシフト制みたいなものあるの?」
思わず、つぎつぎと質問をしてしまいました(笑)
う~~ん?これって・・・とても珍しい現象のような気がする。
少し文献を調べてみると“鳥類の協同繁殖”のキーワードが。
つまり、ペア以外の個体(ヘルパー個体)が抱卵と子育てに関わるという、なんとも不思議な繁殖形態のことです。協同繁殖自体はまれに報告例があるのですが、まさか王子のフラミンゴたちにそれらしき行動が見られるとは。
しかも別種で(;゚д゚)ゴクリ…そして今年もその珍しい行動が確認されました。
4月初旬にベニイロフラミンゴのペアの巣の周りをヨーロッパフラミンゴがうろうろと歩きまわっているのです。距離が近すぎるせいか、親鳥は警戒気味で翼を広げて卵を守っていました。
近づいては離れ、近づいては離れ…を繰り返し。なかなか諦めません。
ちなみに、このヨーロッパフラミンゴの個体番号は「H302」。1997年生まれ。メス。
フラミンゴの飼育下の寿命は平均40~50年と言われているため、ほどよいお年です。
(※一部、番号で個体を管理しています)
あるときに、親鳥の警戒が解け、自然な形でふわりと抱卵に入れ替わりが行われました。
そしてその日は3羽が交代でしっかりと温めていました。
「おぉ、これが噂の…」とテンション高く観察していたのですが、残念ながらその卵は翌日には破卵していました。
たまたまだったのかと思いつつ。
5月中旬にベニイロフラミンゴの同じペアが再び産卵し、今回もまた同じヨーロッパフラミンゴ(H 302)が抱卵に参加していました。
ところが、この2回目の卵もまさかのその日のうちに割れました。
しかも卵には、くっきりと嘴の跡が・・・・(´;ω;`)
温めようと「よいっしょ」と転がそうとしたときにうっかり強く差しすぎたのかもしれません。
H302ははりきって抱卵しようとしているけれど。
これは・・・親鳥にとってはもはやありがた迷惑なのでは・・・。
通常フラミンゴは1つのペアが1つの巣に1つの卵を産みます。
同じペアが複数回、産卵するのは抱卵中の卵を失ったり、ヒナの子育てに失敗した場合の“補充卵”であることがほとんど。
しかも、産卵は体力をとても使います。2回産んでいるこのペアのメス、さすがに今シーズンは産まないよね・・・と思っていたら。
なんと、7月3日に3回目の産卵を確認!
(すごい・・・体力ある・・・!)
まさに3度目の正直です。
「どうか今回ばかりは・・・」と思いながら、双眼鏡を覗いていたら、そこにはおなじみのヨーロッパフラミンゴのメス(H302)が登場。
いつものように近づいては離れ、近づいては離れ・・・を繰り返し。
なかなか諦めません。
この3羽の関係性っていったい・・・?
ただ、3度目の正直だったのか。
それとも偶然が重なっただけなのか。
7月31日にヒナが無事に孵化し、その後順調に育っており、親鳥とH302 のそばを離れて単独で行動しています。
飼育の現場では、不思議な出来事にたくさん出会います。
「なんとなく・・・これって・・・?」みたいな小さな感覚が後々に新しい発見や研究につながることも実はよくあります。
観察と記録の積み重ねは動物園が行う研究活動を推進する大きな力になります。
王子動物園での毎日の中にひそむ、「なんとなく・・・これって・・・?」を大切にしながら動物たちの知られざる姿を明らかにしていきたいと思います。
・・・いや、ほんと観察する時間がもっと欲しい(切実)
▼3羽が交代でヒナと一緒に行動をしている様子
動物専門員 あお
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2025年09月23日
うらがわ
9月15日は「敬老の日」でした。
動物園ではこの日にちなみ
ご長寿の動物たちにプレゼントをしてお祝いをする
「長寿動物へのプレゼント」を行いました。
当日の11時からはフサオマキザルに。
13時20分からはカバの「出目男(43歳)」に。
13時45分からはチベットヒグマの「マー(35歳)」とエゾヒグマの「サトエ(33歳)」、
ツキノワグマの「クマコ(1999年保護のため26歳以上)」にそれぞれプレゼントをしました。
(もちろんエゾヒグマの「ロクジ(33歳)」にもプレゼントしましたよ)
フサオマキザルにはヨーグルトやフルーツをぜいたくに加えたサンドウィッチを。
カバの「出目男」にはおからを使ったタワーケーキを。
クマたちにはスイカや魚のアジをプレゼントしました。
飼育担当者が工夫をこらしての特製プレゼント!
夏の代表的な果実のスイカもなにげなくプレゼントしているようですが、
9月以降の果物屋さんやスーパーマーケットでは見る機会がなくなりますよね?
いまが旬の果実といえば桃やぶどうですが、
大きくて見栄えのいいあまーいスイカをプレゼントしたいとのご要望にお応えしたく、
考えたのがこれ。
冷凍です!
これならフレッシュなままでプレゼントできます(笑)
味の感想を聞けるなら…ですが、完食してくれたので。
みんな愛情たっぷりのプレゼントで満足してくれたかな。
これからも元気で長生きしてもらって、
来年もまたみんな一緒にお祝いできますように!
ぶろぐのぐ
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2025年08月17日
ゆめのトレーニングと健康管理
久々の投稿となります。
今回はホッキョクグマ「ゆめ」のトレーニングと健康管理についてです。

「ゆめ」のハズバンダリートレーニング(以下、トレーニング)は、採血を目標として「ゆめ」・飼育・獣医で一年以上前から取り組んでいました。
ただ、皆様ご存じのとおり「ゆめ」はかなりアクティブ(おてんば?)なので、トレーニング中もソワソワ、ガウガウ、強化子(ご褒美)クレクレ、といった感じで3歩進んで2歩下がるトレーニングを積み重ねてきました。詳細な経過(苦労話?)はいつか飼育担当が語ってくれると思います。。
諸々の脱感作(慣れ)、強化子変更、設備工夫、獣医療器具変更等によって、ようやく十分量の採血に成功したのが8/14(木)でした。痛みが少ない方法で実施しているので「ゆめ」は採血中も通常運転のガウガウ・クレクレといった様子で、採血後も「もう(強化子)終わり?」という表情でした。
血液検査で異常値(脱水・臓器障害・電解質異常等)はなく、「さすが若いから健康やねー」という会話を担当者としていました。そして偶然ですが、その日の午後に「ゆめ」が不調ということで診察依頼が入りました。
「午前中元気やったのに、どしたんやろ」と考えながら駆けつけ、寝室の「ゆめ」を診てみると歩様異常がありました。その歩様から腰を痛めたのでは?と仮診断し、投薬+運動制限(室内休養)を実施しました。おそらく原因は展示場ではしゃぎすぎて腰をぐねったか、強打したと推定しています。
なお「ゆめ」自身は投薬1時間後には、ケロっとしており採餌も歩様も通常でした。薬の効果なのか、自然治癒かの判断は難しく、状況注視のため翌日も室内休養としました。当然ながら「ゆめ」は室内休養の目的は理解していないので「外に出して!!」と言わんばかりの様子でした。夏場は冷房の効いた室内と屋外との出入りを自由にしており、「ゆめ」は自分のペースで出入りしていますが、快適な気温であっても室内でジッとし続けるのは苦手なようです。
室内休養の間は診察頻度も高めていましたが、診察のたびに前肢についた水をピチャっとかけられ、ユメの独特の匂いが、、まぁ元気な証拠なので良いんですけど。。運動制限という健康管理手法は動物園では中々難しいものです。
そして翌々日の16日の朝の様子と、これ以上の室内休養はかえってストレスになりかねないとの判断から、屋外放飼を決定しました。寝室から屋外展示場に出る「ゆめ」に対する私の感情は「はしゃぎすぎんといてよ~」という、通常の治療個体への感情と真逆のものでしたが、いきなりプールに飛び込むこともなく、陸上のエンリッチメントツールの中のペレットを探索・採餌(X添付動画)→その後プールに入り陸上同様にエンリッチメントツールの中のペレットを探索・採餌していました。まだ100%安心というわけではありませんが、引き続き「ゆめ」の状態を見ながら適切に飼育管理を行っていきます。

今回は血液検査が出来ていたおかげで診断を絞りやすく、改めてトレーニングの重要性を痛感しました。なお、クマ科のトレーニング下採血はタンタンから始まり、サトエ→タケ→ロクジ→ゆめと採血可能個体が徐々に増えています。手技の基本は確立しており、各個体の特性と施設の形状に応じて手技を改良しながら実施しています。診療が忙しく、なかなか獣医療に関する投稿は難しいのですが、また時間が出来れば色々な動物種のトレーニングや体調管理方法も投稿出来ればと思います。
王子の獣医


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