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2024年03月04日
フラミンゴの産卵準備
今年もフラミンゴの産卵準備のため、
フラミンゴ池の中にある島の土を耕しました。
昨年の巣の跡がまだの残っています。↑昨年の巣跡
約40分かけて耕し終わりました。
島の中央にある溝は、昨年引退された先輩が「溝をつくってあげた方が、フラミンゴが巣を作りやすいかも」
というアドバイスから、溝を作ってみました。
(写真には上手く写っていませんが田の字のように作ったつもりです)
最後はフラミンゴ任せになります。
早速、何組かのペアが興味をもってやってきました。
今年は何羽の雛が孵化するでしょうか?
楽しみと不安な気持ちが混ざっています。
まーくん -
2024年02月29日
災害を乗り越える
2024(令和6)年は、とても衝撃的で悲しい幕開けとなりました。
元日の午後4時過ぎに、のどかなお正月を迎えていた能登半島を最大震度7の大地震が襲いました。神戸市内でもそれなりの揺れを感じたほどでした。その後の被害状況は連日のように報道されていますので、詳しくは記しませんが、人的被害、物的被害は計り知れず、いまだ被害の全容が明らかになっていないと言われています。
そんな中、人や家屋だけでなく、動物も危険にさらされています。石川県七尾市の「のとじま水族館」も甚大な被害を受け、水槽や設備が壊れ、国内の他の園館への避難を余儀なくされ、それ以上に残念なことには、貴重なジンベイザメが死亡するなど、本当に胸が痛みます。
くしくも、王子動物園がある神戸は29年前の1995(平成7)年1月17日に阪神淡路大震災を経験し、王子動物園自体も被害を受けました。しばらくの閉園はやむをえませんでしたが、幸いにして園職員や動物が犠牲になることはなく、獣舎や設備にも大きな損傷はなかったと聞いています。その際にも、近隣の園館を中心に人的、物的な手厚い支援や激励を受けて、被災者でもある職員一同必死に復旧に取り組み、3月23日に何とか再開できました。その当時の関係各位からいただいた多大なご支援には今でも感謝しており、今回はのとじま水族館をはじめとする能登半島の復旧・復興に対して、神戸市、王子動物園として少しでも恩返しをする番だと、各方面で取り組んでいるところです。
のとじま水族館は今のところ再開のめどが立っていないと聞いており、復旧への支援として、見舞金やクラウドファンディングの募集が始まっていますので、関心を持っていただければ幸いです。
のとじま水族館や、日本動物園水族館協会(JAZA)のホームページからアクセスできます。また、王子動物園内でも募金箱を設置し、ご協力を呼び掛けています。
被害を受けた能登半島周辺地域と被災された方々に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興をお祈りするとともに、災害被害から動物たちを守り、のとじま水族館が少しでも早く再開できるよう、協力の輪が広がることを願います。
〇日本動物園水族館協会(JAZA)によるのとじま水族館への支援について
https://www.jaza.jp/storage/jaza-news/Qn8ck8jv2V9RtA2bk6wNk7jvW9CjYOZb4Ui9bZkU.pdf
〇のとじま水族館ホームページ
(KYな人)
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2024年02月28日
ZiZi通信 No.90 補修中に草原を見た....
先日もゾウ舎オスゾウ「マック」の運動場に出る飼育係用の扉が、ガタついてきたので取替え補修しました。
まあ、築70年ですから あちこちガタつきます。
補修時、メスゾウ「ズゼ」が柵越しにいたので、私が業者さんに付いての補修でした。。
その時、朝日がバックにあったので 草原が見えたんです。
ほらね!
ズゼの背中と頭でした。
無事 扉の取換え補修が終了しました。
代わり映えしませんが、新しくなってるんです。
ZiZi1号
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2024年02月20日
コバタンの死亡に寄せて
朝の早い時間は寒さが厳しい三寒四温の日々ですが、芽吹く若葉に春を感じてきました。
新しい芽が生まれる中、先日2024年2月10日コバタン(オス・40歳以上)が亡くなりました。
1983年に来園してから長い間、王子動物園で過ごしてきた40歳を超える長寿のインコでした。大きな目をまん丸にし、来園者の動きに合わせて反応する姿が微笑ましく、小さな身体を左右に揺らしながら「キィキィ」と鳴く声がかわいい人気者でした。
寒さに弱いため近頃は暖かい温室で過ごしていました。少し元気がない中でも大好きな落花生や
パンをカリカリと器用にくちばしと足指を使い、美味しそうに食べていた姿を思い出します。コバタンのいた部屋に行くと、コバタンと過ごした日々の思い出があふれてきます。
しかし、私たち飼育員は下を向いてばかりはいられません。
時には涙を心の中にこぼしながら彼等との素敵な思い出を胸に刻みつつ、一日でも長く動物たちと関わっていきたいと思う春の日でした。これまで可愛がっていただいたお客様に感謝するとともに、コバタンに、「長い間ありがとう、お疲れ様」と伝えたいです。
メス(左)と仲良く寄り添うコバタン(右:オス)
器用に食べる姿がかわいらしい
春はまたやってくる
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2024年02月06日
ヒワコンゴウインコ「ヨモギ」の死亡に寄せて
2024年1月31日、ヒワコンゴウインコの「ヨモギ」(オス、40歳)が亡くなりました。
最近、足腰と少し体調にも心配なところがあり、暖かい部屋ですごしていましたが当日朝まで元気な姿を確認し、食欲も旺盛だったため、突然のことに担当者も驚きを隠せません。
その後、死因について調査したところ腸炎が推定されました。ヨモギは、王子動物園生まれの国内最高齢の40歳でした。
メスの「ヒワコ」と仲睦まじい姿を見せてくれることもあり、可愛い素振りは年齢よりも幼く見えインコ舎の人気者でした。
動物園の入園ゲートをくぐる前から聞こえるよく通る大きな声の持ち主で、これからヨモギのその声が聞けなくなるのが寂しくてなりません。
今まで、可愛がってくださった方々にお礼を申し上げるとともに、ヨモギに「長い間ありがとう、お疲れ様。」と伝えたいです。ヨモギ
左:ヨモギ、右:ヒワコ
担当者
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2024年02月05日
資料館レポ №28 図書室 干支展関連展示
動物科学資料館で行っている『干支展「辰」~龍とむかしばなしの動物たち~』の関連展示として、図書室では一般室で『龍と伝承動物たち』、子ども図書室で『干支のおはなしとむかしばなし』をひっそり開催しております。
さて、今回の干支展を開催するにあたって、自分たちの知っている昔話の内容について話す機会があったのですが、それぞれ微妙に違っているのがおもしろかったです。
同世代間でも、『サルかに合戦』で「ウシのくそどん(ウシのフン)」が出てきたり、出てこなかったり、『桃太郎』の結末は、50代以上は「鬼を退治して、鬼がさしだした宝物をもって、おじいさんとおばあさんのもとに帰りましたさ。」だったのが、若い世代が聞いたのは「桃太郎は鬼と仲直りして、仲良く暮らしましたとさ。」だったとか、いろいろなパターンがありました。
あまり汚いのはよろしくないとか、残酷なのは精神衛生上よくないというのがあるのかな…と思いつつ、もともとは口承文学(口伝えの文学)、囲炉裏端やこたつや、はたまた添い寝する布団の中で、自分の聞き知った話を子どもに聞かせたものなので、柔軟なものなのかもしれないなと感じました。(賛否両論あると思いますが…)ともかく、龍や人魚やゴジラ(伝承動物???)が紹介された興味深い本や、懐かしい昔話の絵本を手にとっていただけたらうれしいです。
図書 丸代
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2024年01月29日
ZiZi通信 No.89 伸びる伸びる....
ゾウ舎バックヤード通路でゾウの鼻の届かないところの床の色を飼育員の安全のために塗る相談がありました。
以前のものが薄くなってしまったので。
今回、調子に乗って以下の提案してみました。模様は「ゼブラ」、「水玉」、「お花」、「ハート」、「ベタ」
飼育からは「意味が分かりません。緑のベタでお願いします。」と言われちゃいました。
飼育担当の反応が楽しみだったのですが...がっかり
ゾウの鼻は意外に伸びるんです。これが
良く伸びますよねえ!ZiZi1号
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2024年01月18日
アビシニアコロブスの「バッコス」の死亡に寄せて
2024年1月12日、アビシニアコロブスの「バッコス」(オス、24歳)が亡くなりました。
前日もいつも通り家族とご飯を食べ、亡くなった当日も変わらず運動場に出ていたので、担当者としても突然のことで驚きを隠せません。
その後、死因について調査したところ、急性心不全が推定されました。バッコスは2009年に来園し、その後、2頭のメスの夫となり、2011年には、当園では5年半ぶりとなる子どもを授かりました。その後も子宝に恵まれ、8頭もの子どもを残し、今ではその子供たちも良き親になっています。
バッコスは群れの中ではリーダー役を担い、いつも1番に運動場へ出て安全を確認し、寝室に戻るときも、全頭が戻ってから寝室に帰るようにしていました。また、常に一歩下がったところから全体を見守り、時には子ども達と遊び、みんなに慕われる立派なリーダーでした。
バッコスの冥福をお祈りするとともに、これまで多くの方々に見に来ていただき、感謝申し上げます。
王子動物園 猿担当
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2024年01月17日
ミユキの治療について
1月13日の朝、国内最高齢ホッキョクグマのミユキが亡くなりました。
死因は「多発性嚢胞に起因する肝不全」でした。
今回、少し長くなりますが、ミユキを見守っていただいた皆様に、獣医の目線から詳しく伝えたいと思います。
まず、ミユキに対しては長期間にわたって投薬をしていました。
投薬のきっかけは、数年前からミユキに認められた突発的な体調不良です。
普段あまり弱い姿を見せることがないミユキが、寝室で伏せの体勢をとったり、地面を掘るような行動をとることがありました。そんな時、ミユキは口をとがらせて「フー、フー」といった、少し苦しそうな呼吸をし、目つきにも元気がありません。はじめてこの行動を認めた時、飼育・獣医がホッキョクグマ舎に集合して対応を協議し、夜遅くまで交代しながら観察したことを記憶しています。
その後、各種検査の結果、既往歴、ホッキョクグマの種としての好発疾患などから、いくつかの原因が推定されました。
簡単に分類すると
・ヘルニア関連
・消化管内の病原微生物
・肝臓疾患です。
ヘルニアについては、以前もブログで書いたので、詳細は割愛します。外科手術が必要な疾患であることから、その準備を対策として実施し、昨年の3月には実際に手術をおこないました。
消化管内の病原微生物については、定期的な便検査で、便中に病原性を有する微生物が増えていることがわかりました。病原微生物の種類も1種類ではなく、体調不良のたびに検査を実施し、必要な投薬をしていました。おそらく園内で一番頻繁に便検査を実施していたように思います。
しかし、病原微生物が確認できないのに、体調不良が確認されることもありました。
最後が肝臓疾患です。
実は高齢ホッキョクグマの死因では肝臓関連の疾患は非常に多く、当園で飼育していたオスのアイスも肝臓に腫瘍がありました。他園館でも30歳を超えて死亡したホッキョクグマの多くが、肝臓関連の疾患を患っていました。このような背景から、肝臓疾患についても除外せず、念のため、かなり前からサプリメントを処方していました。
そして2年前、ヘルニアの状況確認のために実施した麻酔下検査での腹部エコーで、ミユキの肝臓に大きな腫瘤が認められました。同時に実施した血液検査も、肝臓の異常を裏付ける結果でした。
そこから肝臓薬の投薬を開始しました。また、定期的に認めていた体調不良の原因が肝臓腫瘤を原因とした痛みである可能性も考慮し、鎮痛剤の使用も開始しました。
投薬に関しては、経口薬と注射薬があるのですが、注射の場合は大きなストレスを伴います。
しかし、ミユキの体重は200kg以上もあり、経口投薬ではかなりの錠数が必要となります。また、薬の中にはミユキの嫌いな薬もありました。
この点については、飼育担当者による様々な工夫があり、経口投薬が可能となっていましたので、ミユキには最後までストレスはなかったと思います。
亡くなる数日前、前述した消化管内の病原微生物の治療が上手くいき、便性も回復していました。食欲も旺盛で「調子いいですね」と飼育担当者と話をしていました。
国内最高齢でしたが、展示場に出た時はまだまだ活発な姿もあったので、しばらくはミユキ・ゆめ の 国内最高齢・最年少コンビの交互展示が続くんやなぁ、と思っていました。
亡くなった日の朝、電話でミユキが死んだと連絡が入り、「え?ほんまですか?」という返事をしたと思います。それくらい急でした。
亡くなって病院に運ばれたミユキの解剖準備をしている時も「急すぎて受け入れられへん。」と飼育担当者も話していました。
解剖の時、私がお腹を開かせてもらいました。
目に入った肝臓の状況から、ミユキの長年のしんどさが伝わってきました。
強がりのミユキは、こちらが思う以上にしんどい時があったかもしれません。
動物園獣医として、ミユキの突発的な体調不良、ヘルニア手術、解剖の全てに携わり、多くの経験がありました。
この経験を、ゆめをはじめ、今後のホッキョクグマの飼育・治療に生かせればと思います。
とても元気なミユキの姿を残しておきます。
なんで、そんなに怒ってんの?
王子の獣医
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2024年01月17日
マックの牙
はじめにゾウの牙の話から。トラなどの猛獣の牙は犬歯ですがゾウの牙は門歯、すなわち前歯が進化したものです。その牙を使って木の皮をはいで食べたり、穴を掘って水を飲んだり、オスゾウは闘争に使います。
オスゾウの長い牙は見た目はいいですが、当のマックは重い牙が少し邪魔かもしれません。でも鼻を乗せて休めるので便利かも。飼育係には交差した長い牙のため鼻を振り上げて威嚇出来ないので少し安全です。飼育係はマックの鼻の届かない所を歩きますが、あの巨体が走ってきて鼻を振り上げられたらかなりの迫力です。仕事中ゾウの前を歩くだけの事ですが集中していないと、ふらりと近寄っただけで事故に繋がります。そのため飼育係はいつも緊張感を持って作業にあたっています。
牙は時々折れる事があります。気が付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、先日、マックの左牙の先が20cm程欠けました。遊具の丸太の所に牙の破片が落ちていたので、遊んでいて欠けたものと思われます。
欠けた所が牙の内側なので先が尖らなくて良かったです。なぜならズゼと同居した時にズゼの体に傷を付ける事があるからです。また根本から折れてしまった場合、歯髄が露出しても、直接触れられないマックの治療は思い通り出来ません。
マックは今までに何度か牙を折っています。2016年11月、ゾウ舎では放飼場の仕切り柵の工事をしていました。そのため2頭は昼間は同じパドックで過ごし、夜もいつもは1頭1室の寝室を2頭で一緒に居ました。夜中にマックがズゼの体を牙で押し出しました。余りにも力強く牙の中心部分で押したため折れてしまいました。監視カメラに音は入っていませんが、パーンと音が聞こえた気がしました。ショックだったのか牙を折ったマックは大人しく朝を迎えました。
そんな一面を持つマックですが、長い牙で大きなタイヤを持ち上げている姿は勇ましく、迫力ある遊びっぷりをこれからも見せてもらいたいです。
やん
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