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最新ニュース

  • 2023年03月29日

    資料館レポNo.24 剥製製作のうらばなし (※剥製の写真がでてきます。)

    資料館には約330点の剥製のお宝が眠っています。

    剥製は、剥製師さんに依頼をして作ってもらうこともあれば、資料館で作ることもあります。

    そして剥製を作る場合、ほとんどが王子動物園で亡くなった動物たちに協力してもらっています。

    そんな剥製製作を私は今回初挑戦したので、ここで紹介させていただきます!

     

    剥製製作には種類がいろいろありますが、今回はキンカジューの皮だけを残した平たい剥製、その名も「フラットスキン」というものに挑戦しました。

    実はこのキンカジュー(チビくん♂)は私が以前、王子動物園で飼育係をしていたときの担当動物でした。

     

     

    IMG_0908

     

     

    IMG_0910

     

    掃除をしている最中でも邪魔しにくるようなとても人懐っこい性格で、ハチミツが大好物だったチビくん。

    そんな光景を思い出しながら作るのはなかなか複雑でしたが…

    アドバイスをいただきながら無事に剥製を作ることができました!

     

    IMG_7377

     

    剥製に生まれ変わったチビくん、どうですか?

    肉球も爪も綺麗に残すことができました。

     

    IMG_0189

     

    私の初めての剥製製作に協力してくれたチビくんに感謝です。

     

     

    生きものはいつか亡くなりますが、亡くなったあとも剥製という形でみなさんにまたひとつ学びを深めてもらう…剥製にはそんな意味や思いが込められています。

     

     

    収蔵子

  • 2023年03月01日

    資料館レポ №23 『美しきハンターたち』サーナ(アムールトラ)

         今回は、動物科学資料館 常設展 剥製コーナーで開催中の『美しきハンターたち』 で展示中のアムールトラ(サーナ)についてお話します。DSC09616 

        実は、王子動物園は日本で初めて“アムールトラ”の飼育を行った動物園です。

        サーナ(SERNUR)は1976年8月19日、アメリカのサンディエゴ動物園から2才で来園。翌年、メスの「ナディア(NADEIA)」(4才)が来て、その年の9月にはベビー誕生。日本初ということで繁殖賞をいただきました。

    EPSON scanner image

       2頭は仲睦まじい夫婦で、ナディアが亡くなるまでの12年間で8回の出産で17頭が誕生し、うち9頭が育ちました。ナディアが亡くなった翌年 1989年にサーナは、16歳で亡くなりました。

       

    育った仔たちの行く末を見てみましょう。   

    第1産1977.9.29 ロク♂ 1979 帯広動物園へ

    第2産1978.6.4  ナナ♀ 148日生存/ハチ♂ 1979 旭川動物園へ/キュウ♂1979 京都市動物園へ

    第3産1979.3.15 トコ♀ 1979 熊本動物園

    第4産1979.7.20 トイチ♀ 74日生存

    第5産1980.5.14 マミ♀ 1981 帯広動物園へ

    第6産1981.10.31 トミ♀ 1985 東山動植物園へ/ トシ♀ 1982 多摩動物公園

    第8産1982.11.3 十五郎♂ 王子動物園にて 1994.12.26死亡

     

    名前は、最初の「ロク」は六甲山からとって「ロク」、その後はナナ・ハチ… 最後は十五郎(ジュウゴロウ)です。(マミーだけ法則はずれてますね。)

    それぞれに、全国に旅立っていきました。

     

    最後まで残った 十五郎

    はばたき 1998.3 №42 十五郎

    この写真に見覚えがある方、資料館によく来てくださってますね。 寅年のお正月、資料館の玄関に飾っていました。

    絶滅危惧種となっているアムールトラ、サーナとナディアの子だくさんカップルにあやかって、ショウヘイ・レーニャ カップルが子宝に恵まれますように、仔どもたちの写真を何枚か貼っておきたいと思います。 

    EPSON scanner image  仔をあやすナディア

    EPSON scanner image  初めて育った ロク

    EPSON scanner image ナディアとナナ・ハチ・キュウ

    ※最後の写真、2頭しか仔が見えませんね。

    残っていた写真のタイトルは「ナディアとナナ・ハチ・キュウ」なんですが…。

    写真を撮った人には見える場所にいたのかもしれません。そのままのタイトルにしておきます。

    <図書 丸代> 

  • 2022年10月01日

    資料館レポNO.22 特別展「ジャイアントパンダは今…」~タンタンのふるさとからのメッセージ~開催中(3)

    中国ジャイアント保護研究センターより提供していただいた貴重な写真とビデオを使用し、展示を企画いたしました。

    今回で、3度目の紹介になります。

     

    今回は中国ジャイアントパンダ保護研究センターで行われている保護活動について、提供していただいた写真を使って紹介します。

     

    このセンターでは飼育下のジャイアントパンダの野生化訓練と野生復帰に関する研究に力を注いでいます。

     


    2006年には、世界初、人工繁殖のジャイアントパンダ「祥祥」が野生に帰りました。

    s-元気でな祥祥

     

     

     

     

     

     

     

     

    まず、野生化訓練は

    センター内のほぼ自然環境に近い環境で、人もできるだけ干渉しないようにして「母と仔」で体験的に生活させる訓練をします。

     

     

    母親から木登りを教わる仔パンダ

    s-親子

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    徐々に野生化への訓練をしていきます。

    訓練中の仔パンダに接触するときは、人の干渉をなるだけ避けるため、スタッフはパンダに変装します。

    s-仔パンダ扮装

     

     

     

     

     

     

     

    s-扮装パンダ

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    野生化訓練中の雪の中の「淘淘」

    s-穴からパンダ

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    野生化訓練中の「淘淘」と「草草」 野生のタケノコを食べる

    s-淘淘和草草在野外吃竹笋

     

      

     いよいよ自然へ放たれる「淘淘」

    s-淘淘野生に帰る

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

      

    モニタリングと一連の技術を確立し、これまでに飼育下で繁殖した9頭のジャイアントパンダの野生復帰に成功しています。

      

     

     

    また、野生で傷ついたり、弱ったパンダを助ける救護活動も行っており、治療をし、再び野生復帰を目指します。

     

    車も入れないところを人力で運び出す現地の方々 

    s-保護

     

     

    この特別展によりタンタンのふるさとで行われているジャイアントパンダの最前線の保護活動の様子を知り、さらに野生のジャイアントパンダへの興味を広げていいただけば幸いです。

     

     

     

     

     

     

     

    Norigoriチャン

     

     

     

  • 2022年09月15日

    資料館レポNo.20  特別展「ジャイアントパンダは今…」~タンタンのふるさとからのメッセージ~開催中(2)

    前回は入口の中国ジャイアントパンダ保護研究センターで生まれた赤ちゃんパンダの写真コーナーの紹介で終わってしまいました。

    今回は、このセンタ―でのジャイアントパンダの赤ちゃんの成長の様子を写真でご紹介します。

     

    このセンターにたくさんのジャイアントパンダがいる理由は、

    パンダの繁殖の課題、「発情が年1度のわずかな期間しかない」「自然交配での妊娠率が低い」「赤ちゃんの生存率が低い」を克服し、飼育下での繁殖に成功するようになったからです。

    また、血統管理を強化し、遺伝学的分析に基づいて繁殖計画を立てるようになりました。

     

    2017年 出生数が過去最多に(入口写真コーナーの背景にも使用)

    2017年出生的大熊猫宝宝 (4)  

     

     

     

     

     

     1980年代初頭、このセンターには6頭しかいなかった飼育下のジャイアントパンダも今では356頭に増えています。

     

     

    ではセンター提供のとっておきの展示中の写真をご覧ください。。

     

    ジャイアントパンダの赤ちゃん 2日齢

    s-出生2天大熊猫幼仔 (2)

     

     

     

     

     

     

     

     

    ジャイアントパンダの赤ちゃん  1週間齢

    s-出生一周的熊猫幼仔 (1)

     

     

     

     

     

     

     

     

    人工哺育の場合、30日齢ごろまで哺育器内で過ごします。

    s-育幼箱中的熊猫宝宝

     

     

     

     

     

     

     

     

    双子や三つ子がうまれることもあります。

    s-全世界唯一全部存活的大熊猫三胞胎

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    人工哺乳のようす(王子動物園に来園した王飼育員)

    図1

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     100日齢

    s-出生100天的大熊猫幼仔

     

     

     

     

     

     

     

     

    飼育下のジャイアントパンダの中から適正な個体を選び、野生化訓練後、自然に戻すことにも挑戦しています。

    次回はその野生化訓練の様子を紹介します。

     

     

     

    Norigoriチャン

     

     

     

     

     

  • 2022年08月17日

    資料館レポNo.19 特別展「ジャイアントパンダは今…」タンタンのふるさとからのメッセージ 開催中!

    中国ジャイアントパンダ保護研究センタ―から獣医師の成さんと飼育員の王さんの2名のジャイアントパンダの専門家を5月にお迎えし、アドバイスをいただきながら、日中協力しタンタンの健康管理に取り組んでいただきました。

     中国ジャイアントパンダ保護研究センターは中国の公的機関で、ジャイアントパンダの保全に取り組んでいます。

     

     成獣医師(左)と 王飼育員(右)

    s-IMG_4799

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    この専門家2名の滞在中(8月4日帰国)に急遽、講演会と特別展の開催が決まり、かなりハードなスケジュールでの準備となりました。

    中国ジャイアント保護研究センターより提供していただいた貴重な写真とビデオを使用し、展示を企画いたしました。。

    通訳の方のご協力もあり、何とか解説もつけることができました。

    s-IMG_6259

     

     

     

     

     

     

     

    IMG_6270

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     とにかくこのセンターにはジャイアントパンダでいっぱい。

    見てください。日本では信じがたいこの光景。

    ぬいぐるみではありませんよ。

     

     人工授精、人工哺育などの技術の向上で毎年たくさんの赤ちゃんが生まれ、育つようになりました。

    2017年出生的大熊猫宝宝 (4)

     

     

     

     

     

     

     

     

    そして、この展示の入口にはこの写真を採用

    s-IMG_6252

     

     

     

     

     

     

     

    2017年に生まれのジャイアントパンダが皆さんを迎えてくれます。

    ここでまず記念写真をどうぞ :-)

     

    ちなみに資料館スタッフが試し撮り。

     

    s-IMG_6318

     

     

     

     

     

     

      

    s-IMG_6309

     

     

     

     

     

     

     

    うーん。なかなかリアル!こんな感じでお楽しみください。

    かつて展示で使った生後1か月の赤ちゃんパンダのぬいぐるみも活躍しています。

     

    今回は入口の紹介で終わってしまいました。

    次回は現地でのジャイアントアパンダの保護活動の最前線の様子を皆さんにお伝えしたいと思います。

     

     

     

     

    Norigoriチャン

  • 2022年02月19日

    資料館レポNo.18 トラの講演会を開催します!

    今年は寅年。

    いつもなら、トラに因んだ干支展を特別展示室で開催しているところですが、昨年から引き続き、特別展示室では「ありがとうタンタン」展を開催中で、トラは少しパンダの陰に身を潜めている感じです。

     

    せっかくの寅年、トラにももう少しスポットがあたってもいいのでは…

     

    そこで 3月20日(日)にトラに関する講演会を開催することになりました。

    トラのことを深く知り、トラを守るために何ができるかを考える機会にしていただけばと思います。

     

    プレゼンテーション1

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    野生のトラは4000頭以下と言われ、絶滅の危機に瀕しています。

    そんなトラを守るには、まずトラのことをよく知ることが大切です。

    今回は野生のトラと動物園のトラの両方からのお話をします。

     

    野生のトラについては杉本太郎先生(兵庫県立大)をお招きし、ロシアの沿海州で野生のアムールトラの調査をしておられた研究者により、現地の調査の様子や研究、保全活動、最近の研究成果などをお話いただきます。

     

     

    また、王子動物園のトラの紹介や動物園でのアムールトラの現状を当園の笠原獣医からお話いたします。

     

    昨年11月には、アムールトラのオス「ショウヘイ」が来園。

     ショウヘイは現在、運動場へ出る練習をしているところです。

     

    20211212_145503s

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    メスのレーニャとの間にはやく赤ちゃんができればと期待がふくらみます。

     

    長く続いている不安定なコロナ禍の状況、無事に講演会ができることかどうか心配ですが、コロナ対策をして開催しますので、どうぞ、皆さん、参加応募待っています。

     

    詳細、申し込みは、王子動物園HP→最新情報→イベント情報をご覧ください。

    2月20日から受付開始。締め切りは3月9日まで(応募者多数の場合抽選)

     

    待ってまーす。

    Norigoriチャン

     

     

  • 2021年12月01日

    資料館レポ№17 動物科学資料館~みんなに愛され70年~

        現在、王子動物園の北東側に位置する動物科学資料館は1987年3月にオープンしました。建築総床面積2,828㎡、平屋、総工費12億円 展示、図書室、休憩ホールのほか200人以上の収容能力のあるホールを兼ね備えるもので、屋上には六甲山系から神戸港まで見渡せ、ハンター住宅がローケーションにある庭園をもつ日本の動物園でも有数の施設です。

    資料館オープンDSC07826 (2)

    <資料館 オープン式典>    <資料館 現在> 

     

        資料館が建っている場所はかつて旧関西学院中等部の校舎(3階建てレンガ造りのべ3,800㎡)がありました。この建物は立派な建築物でしたが、耐震化の問題があり、再利用ではなく、建て替えることになりました。記念として建物の赤レンガが休憩ホールの北側の壁面に埋め込まれています。

     

    関学校舎227縮小 

    <旧関西学院中等部 全体像>※ハンター住宅が後方に見える 

    関学校舎アップ縮小

    <旧関西学院中等部 部分>

     

      資料館の役割は「教育普及の拠点とはく製や骨格標本の保存と活用」です。 図書室には、動物に関する図書は約1万2千冊、他の動物園の情報誌もそろえています。建物の東部分で少しわかりにくい場所にありますが、ぜひご利用ください。 「楽しく学ぶ」をコンセプトに教育支援事業を初め、様々な催しを行っています。大人も子供も動物を通じて自然環境を学べる場所にしていきたいと思っています。

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     <はく製展示室>

    ※現在の展示「歴史を彩ったはく製になった動物たち」

     

       今回をもって、王子動物園の歴史をふりかえる「愛され続けて70年」のブログは終了します。動物園の再整備が始まり、王子動物園は次の80周年、100周年に向けて進み出しますが、次の愛される歴史になることを望んでいます。

    SHIRYOUKAN

    ※ 写真をクリックすると大きくなります。

  • 2021年11月16日

    資料館レポ№16 亀井一成 飼育員~みんなに愛され70年~

       動物園の飼育員といえば、今では動物好きの子供たちがなりたい上位にくる 仕事ですが、かつて、王子動物園にはこの人をテレビで見て目指したという人気の動物飼育員がいました。1951年の開園から1990年まで在籍された亀井一成さんです。東のカバ園長、西山登志雄(上野動物園のカバの飼育係を経て、1981年より東部動物公園の初代園長)、西の亀井一成と言われるほど日本では有名な飼育員でした。

         亀井さんは1970年、80年代にテレビや講演会に頻繁に出演されて、動物園の魅力や動物のすばらしさを伝えるのがとても上手な方でした。とくに、聴衆を泣かせる話をする名人で、王子動物園の宣伝にも大きく貢献してくれました。

    諏訪子

    <諏訪子に乗る亀井さん(19歳)>

         亀井さんの飼育の実績で取り上げられるのが、日本で初めてのチンパンジーの人工保育の成功です。以下50年史の記事からです。

    「1963年、6月22日チンパンジーに待望の赤ちゃんが誕生した。しかし、母親の摩甲は子供を抱きかかえているが母乳を与えている様子がなく、母乳が出ないと判断し、亀井一成飼育員はなかなか離さない母親から子供を取り上げ、人工保育が始まった。しかし、前例がほとんどないため、小児科医に相談したり、外国の文献を調べたり、人用の人工乳を工夫して飲ませたり、おむつをさせたり、夜は自宅に連れ帰り一家総出で育児に専念した結果、立派に成長し、公募によりチェリーと命名された。」

    チェリーと亀井さん2

    <チェリーを抱っこした亀井さん>

      退職後は、動物科学資料館で「こども動物相談」コーナーを開設して子供たちに豊富な経験をお話されていました。著書には「ゾウさんの遺言」「チンパンジー神ちゃんの日記」「亀井一成のなぜなぜどうぶつ相談室」など多数あります。動物科学資料館に置いていますので、ご覧ください。

    亀井さん相談

    <相談コーナーの亀井さん>

        亀井さんは2010年にお亡くなりになっていますが、チンパンジーの「チェリー」も2014に51歳で亡くなりました。きっと天国で再会し仲良く過ごしていることでしょう。

    SHIRYOUKAN

    ※写真はクリックすると大きくなります。 

  • 2021年11月01日

    資料館レポ№15 希少動物の繁殖~みんなに愛され70年~

        動物園が果たす大きな役割として「希少動物の繁殖」があります。自然豊かな地球上で長い年月をかけ、進化し、種の多様性が見られるようになった動植物が近年の人間の社会経済活動によって絶滅する種が急速に増えた現状があります。希少な野生動物を飼育し、一般の人に向け展示してみてもらうことで成り立っている動物園ですから動物園の存在意義を問われた際、世界の動物園は野生動物の繁殖や保護を第1の役割とした訳です。現在、日本の動物園では各園館が協力し、動物の貸し借り(ブリーディングローン)を活用し、繁殖に取り組んでいます。また、環境省と連携して日本の絶滅危惧種である「ツシマヤマネコ」や「ライチョウ」などの域外保全(野生個体を動物園で増やし、生息域に戻す)に一部の動物園が取り組んでいます。

    タンタン03

    <ジャイアントパンダ タンタン>  

         ジャイアントパンダは世界中で繁殖に取り組んでいる典型的な事例です。ジャイアントパンダは今では中国の四川省の山奥にのみ生息する動物ですが、その数は1600頭まで数を減らし、最も絶滅の危機にある動物とされていました。中国では、その生息環境の保護に力をいれるとともに、保護センターでの繁殖に力を注ぐようになりました。海外の動物園も共同繁殖研究という形でジャイアントパンダを借り受けて繁殖させ、中国に戻すという協力をするようになりました。王子動物園もその一員として参加しています。さらに、中国では、繁殖個体を若い時期から自然環境の中で育て、成獣になって野生で生活できるよう取り組んでいます。そのような努力もあり、生息数は1800頭を超え、絶滅の危険度ランクをIUCN(国際視線保護連合)が下げました。

      臥龍・研究センター

    <四川省 臥竜の保護研究センター>

      王子動物園の動物の繁殖で大変な苦労したのは、アジアゾウ「ズゼ」の3回の出産ではないでしょうか。現在のペアのオスのマックとズゼはとても仲良しで相性も抜群でした。初めての妊娠は2002年でしたが、残念ながら死産となりました。無事出産できたのは2004年に誕生したメスゾウの「モモ」でした。日本でアジアゾウの出産は初めてで日本動物園水族館協会より繁殖賞を受賞しました。ところが、ズゼが授乳しなかったため、人工保育となり、生後8か月でボールで遊んでいる際に、前肢を骨折して寝たきりとなりました。床ずれ防止の寝返りや清拭を毎日行うなど手あつい看護の甲斐もなく、1歳で死亡しました。

    g38モモ3

    <2004年に誕生した  モモ>

     次の出産は2007年、オスの「オウジ」が誕生しました。ズゼはまたしても授乳させてくれませんでした。前回、骨がもろかったという反省から外国からゾウ用のミルクを取り寄せ、人工保育を行いました。しかし、1歳過ぎて、前肢を骨折し、寝たきりになりました。タイに職員を派遣して看護の方法を調べてオウジ の世話を続けましたが、2012年、腸捻転が原因で亡くなりました。

     

    オウジ

    <2007年に誕生したオウジ>

         ゾウは本来、群れで生活する動物で、その中で先輩ゾウから様々なことを学習して生きるすべを身に着けます。「ズゼ」は幼くして母ゾウから離れ、その経験がありませんでした。今後、繁殖を成功するにはズゼが子育てを学習して自然保育することが必要と考えるようになりました。そして、4回目の妊娠をズゼがしたことが、判明し、群れで飼育していて、授乳中のメスいる千葉・市原ぞうの国へ妊娠安定期に移動することになりました。2014年、オスの「結希」が誕生しました。ズゼの群れでの学習を期待しましたが、授乳させることはできませんでした。市原にいた授乳中のメスゾウが乳母をしてくれ、過去2回のような骨の異常も見られず、乳兄弟の姉さんゾウと一緒にすくすくと育っています。

    結希の里帰り 顔はっきりjpg

    <結希の里帰り/向かって右が結希>

         飼育下での繁殖は自然下とは異なる要素がいくつもあり、成功させるためにはこれらを1つ1つ解決していかなければなりません。失敗で得た知識や経験も糧にして、そのノウハウを将来につなげていく必要があるでしょう。

    ※写真はクリックすると大きくなります。

    SHIRYOUKAN

  • 2021年10月16日

    資料館レポ№14 長寿動物~みんなに愛され70年~

        最近発表された日本人の平均寿命は女性で87.74歳、男性で81.64歳でした。男女とも世界のトップクラスを維持しており、毎年伸びています。医療の発達、食生活の充実改善や運動など健康志向の高まりが大きな要因と考えられますが、さらには、大きな戦争や疫病がなかったことも要因だと思われます。来年の統計では世界的には新型コロナの影響が数値に反映されてくるのではないでしょうか。

        さて、動物園で飼育されている動物も同じような要因から長寿化が進んでいます。王子動物園でも、日々、担当の飼育員が動物の状態を観察して健康状態を記録し、異常などを見つければ対応しています。また、専門の動物病院があり、獣医が常勤して検査や手術を行える体制を整えています。

    P.33 動物病院 全景

    <1980年完成 動物病院全景(当時)>

     

        野生動物は犬や猫などのペット動物と比べると圧倒的に病気の調査事例、治療研究が少なく、獣医師は手探りの状態で動物を治療することが多かったようですが、今では、日本動物園水族館協会で研究会や報告会が活発に行われるようになり、動物園間の情報交換や応援などのネットワークも構築されるようになりました。世界の動物園等の情報もインターネットなどのネットワークを通じて、各段に入手しやすくなりました。しかし、動物園の動物は多様であり、飼育事例が少ないなど、まだまだ苦労することも多いようです。

        次に長寿の要因として大きいのは、餌だと考えます。動物園の創成期には餌が十分入手できにくい時代で近隣の山から草を刈ってきて与えていたこともあったそうですが、今では卸売市場などから結構難しい条件を出しても肉魚野菜などを入荷してくれています。動物園という特殊な飼育下では本来の野生の動物の食べている餌が単純に良いとは限りません。運動量やビタミン、ミネラル不足も考慮して動物ごとのレシピを考えるなど栄養管理が必要です。トラやライオンなどの肉食獣で野生と同じように脂肪の多い餌を与えていれば、人間と同じような脂肪肝や生活習慣病になってしまいます。

        動物科学資料館では王子で与えている餌の見本を展示していますので、ぜひご覧ください。

    常設展 食事2 常設展 食事1

    <資料館常設展示 アニマルレストラン>

     

         王子動物園の長寿の代表として挙がるのは、アジアゾウの諏訪子さんとチンパンジーのジョニーさんでしょう。ともに、後年は動物園で飼育される最高齢動物として長年、君臨していました。

    2003諏訪子

    <諏訪子60歳(2003年当時)>

        諏訪子は 1950年9月28日に7歳でタイのバンコクからやってきて、王子動物園開園以来いる唯一の動物でシンボル的な存在でした。2008年に亡くなり、お別れ会をした際には、多くの方に集まっていただけました。

    DSC_0040<諏訪子お別れ会写真>

        性格は温厚で、飼育員にもよく慣れていて、敬老の日のイベントでは参加者がリンゴをあげると鼻で上手に受け取る様子は王子の秋の風物詩になっていました。

     

        次はジョニーです。チンパンジーの群れのボスとして長年まとめ役を担っていました。繁殖にも貢献してくれ、国内初の人工保育で飼育員の亀井さんが育てたことでも有名なチェリーをはじめ、8頭の子供をつくりました。2019年に老衰で亡くなるまで64年間王子動物園にいました。野生個体で生まれたので、年令は不明ですが、推定69歳、この年齢は世界の動物園の中でも1,2位ではないでしょうか。

    2015年ジョニー65歳の誕生日 (1)

    <ジョニー65歳(2015年敬老の日)>

     

           これからも、動物のQOL(クオリティーオブライフ)を高めて、飼育されている動物たちにますます長生きしてもらうことが希少動物を守る役割の観点や展示動物を確保していくことからも重要になってきています。そのためには、飼育員や獣医師の日々のたゆまぬ努力が求められています。

    SHIRYOUKAN

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