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2023年01月20日
初めて見る姿です…
朝、水きん舎の清掃を行っていると、
1羽のオスのインドクジャクがまだ短い飾り羽を広げていました。
インドクジャクは通常、飾り羽が長く生えそろう繫殖期の春~夏にかけて、メスへの求愛のために羽を広げるのです。
そして繫殖期が終わる8月初旬から、羽が抜け始めます。
↑4月のインドクジャク(オス)
今の水きん舎にはメスのクジャクがいないので観察してみると、
カルガモに向かって羽を広げているようでした。
それにしても、こんなに短い飾り羽を今の時期に広げている姿を初めて見ました。
30年以上飼育係をやっていますが、まだまだ解らないことばかりです。
毎日が勉強です。まーくん
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2023年01月18日
ZiZi通信 No.69 イクちゃん イエ~イ!!
チンパンジー舎の櫓(やぐら)は、木製で高さ12m、3棟あります。
他園館では鉄骨が主流ですが、木製にこだわるのは、当園のチンパンジーへの思いです。現在のものは2015年に設置したものですが、ロープと横木は腐ってしまいました。
倒壊防止のために補修しました。
最下部横木と一部2段目横木を新しいものに変えて、やぐらと壁を麻ロープでつなぎました。
また、ロープより軽くて扱いやすい使用済みの消防ホースは、高いところで使いました。ホースはいつも神戸市消防局からいただくのですが、今回は尼崎市消防局からいただいたものです。ホースの取付けは、通称「水品巻き」といってホースをひねって動物がつかみやすくする方法です。
この方法はオランウータンのエンリッチメントのために日本で開発されたものです。
今回は高いところで使用しました。
完成で~す。
イクちゃん ご機嫌!
イクちゃん イエ~イ!!
ZiZi1号
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2023年01月17日
動物園獣医の仕事 検査編その2 糞便検査
今回は「動物園獣医の仕事その2 糞便検査」です。
糞とか便とかを連呼する内容になりますが、獣医の仕事とはそういうものなのでご了承を。
綺麗な話ではないので、お食事中の方にとっては微妙な内容かもしれません。前回同様に、「へー」くらいの気持ちで読んでいただければ幸いです。
「〇〇の便がゆるいからちょっと診て」と飼育員さんから依頼されることもありますし、便に異常がなくとも、食欲不振などの症状がある場合は「便検したいので、採便お願いします」と獣医から依頼することもあります。
糞便検査(尿検査もですが)は検査サンプル採取が動物にとって痛みのない「非侵襲検査」に分類される点において、血液検査より優れた検査かもしれません。
やっぱ採血は痛いですもんね。頻度は血液検査の次くらいに高く、平均すれば1日1便くらい。
たまに、検査室デスクが色々な動物の便であふれることもあります。
そんな日は「今日は便検査祭りやね」と獣医同士でしょうもないことを言いながら糞便をこねくりまわしています。さて、具体的な確認ポイントは「頻度・量・形・色・匂い・消化の程度・内容物・微生物のバランスと量」などです。
そして、動物園獣医の宿命ですが、やはり頭を悩ますのは「動物種による違い」です。
王子には哺乳類・鳥類・爬虫類で約130種の動物がおり、それぞれ便性が違います。
また種によっては、2種類の便(盲腸便と通常便)をする動物もいます。
一番困るのが、便の中の微生物達の違いです。微生物Aは動物Bにとって害はないけど動物Cにとっては有害、ということが多々あります(例えば、肉の生食で話題になったO-157は牛にとって害は少ないですが、人間にとって有害です)。
そろそろ文字だけではつまらないと思うので、最近の事例を紹介します。
とある動物(げっ歯類)が下痢をしていた時の検査で便中にいた微生物です。
顕微鏡で見てみると。。。 (動画)
「ん?誰これ?」
というのが最初の感想です。
原虫(微生物の一種)というのは判断出来ますが、今まで見たことがありません。必死になって調べて正体がわかりました。
「Eudiplodinium maggii(反芻獣の第1胃内の繊毛虫)」。
正直、発音すらわからん。。「んー、今回の下痢の原因なのか?なぜ反芻獣の微生物がココにおるん?」
どの獣医もわかりません。そんな時は同種他個体の正常便を検査し、その微生物の有無と量を確認します。
結果的にEudiplodinium maggiiさん、悪者ではありませんでした。
疑ってすいません。
まだまだ野生動物は分からないことだらけです。こんな感じで王子の獣医達は糞便の匂いが漂う検査室で頭を悩ませながら日々検査をしています。
そういえば、前副園長はウンコをこよなく愛すと自負しておられた稀有な方でした。
ある日、ウマグマ(マー)の芸術的な糞(色々な意味で)の写真が撮れたので、確認いただくと喜んでいただけました。良い思い出です。*正常な時の動物達の便を観察しておくのも獣医の大事な仕事です。
では今回はこのへんで。
次回は尿検査について紹介していこうと思います。王子の獣医
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2023年01月16日
エゾヒグマのロクジの移動について
エゾヒグマのロクジは、去年より、後肢の衰えが見られるようになりました。
初めは後肢のつまずきが見られ、次第につまずいた後肢が踏ん張れず腰を落とすようになりました。
投薬を始めるも症状の悪化が進み、投薬の量が増えていきました。それでもロクジは日の当たる2階部分に上がって行きます。
もし坂の途中でよろめいて下に落ちて怪我をしても助けに行けません。そのため、クマ舎の北側にある段差の少ない獣舎に移動する事にしました。
ロクジの移動 (動画)
当日は麻酔をかけて移動用のゲージに入れ、クレーンで移動先の放飼場に下ろしました。
麻酔から覚めているものの、後肢に力が入らず、ゲージから出るのに時間がかかりました。
ぱくぱく (動画)
翌日から餌も食べだし、足の様子を見ながら外に出るようになりました。
でも今は立ち上がっても後肢を前に出せない時もあり、前肢だけで移動するときもあります。
足を引きずった時に傷ができないように寝室の床にはゴムマットを敷いています。
放飼場にも園内で集めた落ち葉を入れました。
運動量も減っているので、足の負担軽減のためにダイエットも始めました。
少しでもロクジが快適に生きていけるように色々と考えていきます。
ちなみにサトエですが、ロクジが居なくなり少し寂しそうです。
少しでも気を紛らわしてもらおうと色々放飼場に入れています。
今は少しは慣れてきたみたいです。
やん
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2023年01月04日
知られざる運営の日常*2
皆さま、あけましておめでとうございます。
王子動物園は1月2日に開園し、動物たちと多くのお客様とでにぎやかに新年をスタートすることができました。
2023年もどうぞよろしくお願いいたします。
年の終わりにかけて、運営担当はあわただしくカレンダーやダイアリーなどいろいろな印刷物を製作しました。その準備でOさん(写真が得意な当園1年目スタッフ)が撮影した数多くの動物の写真を眺めていた時のこと。
「ライオンのサクラが、どれもいい表情をしているなぁ~」「Oさんさすが、撮るんうまいやん!」
これまでに見たこともないような、なんとも言えない優しい目がひときわ素敵で、即決でサクラの写真を、年始にお客様にお配りするためのカレンダーと、クラウドファンディングのお礼のポストカードに採用することにしたのでした。それから間もなくの12月29日、サクラは大往生で天国に旅立ちました。
長年私たちを癒してくれ、最後まで素敵な表情を残してくれたサクラ。
今思えばあの表情は「もうすぐ私は行くけど、みんな元気でね」と伝えてくれていたのかな。
サクラは知るはずもないけれど、お礼のポストカードに沿えた手書きの文字、この穏やかな表情に合っていて、我ながら上手く書けたなあと思っててんよ・・・。
この「Thank you」は支援してくださった皆様と、サクラに贈りたいと思います。(ブロンズ)
追伸 クラウドファンディングはおかげさまで目標金額に達することができました。
皆さまの温かいご支援金は大切に有効活用させていただきます。本当にありがとうございました。
引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。
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